◎ミャンマー軍は先日、独自のゲリラ部隊を持つカチン州の少数民族「カチン族」の集落や施設を空爆し、住民数千人が隣国タイに逃亡した。
2021年3月31日/ミャンマー、ヤンゴン、撤退する抗議者たち(AP通信)

3月31日、国連のミャンマー特使、クリスティン・シュラナー・バーゲナー氏は、ミャンマーの抗議活動は前例のない規模の内戦に発展する可能性があると警告し、国連安全保障理事会に現状を打開できる行動を検討するよう懇願した。

バーゲナー特使は安保理に求める行動の詳細については言及しなかったが、現状を放置すればミャンマーの民主主義、政治、市民生活、経済は破綻すると警告した。「内戦は国連の監視下にあっても発生する可能性があります。国連は利用可能なすべてのツールを検討し、内戦を防ぐために行動しなければなりません」

AP通信によると、中国はバーゲナー特使の提案を検討する時間を安保理に要求したため、新たな制裁や声明を検討する評議会は、少なくとも4月1日までは開催されない予定だという。

中国の張潤大使は国連が配布した資料の中で、「一方的な圧力、制裁またはその他の強制措置の要求は緊張と対立を悪化させるだけであり、建設的ではない」と述べた。「国連はミャンマーの民主化への移行を、対話を通じて前進させるよう当事者に促すべきです。緊張と対立を煽り、混乱を長引かせるべきではありません」

ミャンマー軍は2月1日の軍事クーデターでアウンサンスーチー氏と国民民主連盟(NLD)の閣僚らを拘束し、新政府の樹立と非常事態を宣言した。

バーゲナー特使はオンライン会議の中で、非武装の抗議者に対する暴力と逮捕を非難した。国内の逮捕者と死亡者を追跡している政治囚人支援協会(AAPP)によると、一連の抗議活動で殺害された市民は536人に達し、2,700人以上が逮捕、起訴または実刑判決を受けたという。

安保理はクーデターの撤回と平和的な抗議者に対する暴力を強く非難し、「最大限の抑制」を求める強制力のない大統領声明を3月10日に採択した。この声明は、「状況がさらに悪化した場合は国連憲章に基づき可能な措置を取るべき」と主張したイギリスの草案より弱く、声明発表後も暴力は収まる気配を見せていない。

2021年3月31日/イギリス、ロンドン、抗議活動中に死亡した市民の写真を持って行進する人々(Aaron Chown/PA/AP通信)

バーゲナー特使は緊急対応が必要と強調したうえで、「軍の最高司令官は力による制圧を決意しているように見えるため、遠くから非難しても効果は薄く、街は血まみれになる」と警告した。「調停には対話が必要ですが、軍の最高司令官は対話の扉をほとんど閉ざしています。軍は、殺人と抑圧で混乱を抑え込めると信じているように見えます」

バーゲナー特使はタッマドゥと呼ばれる軍当局者と連絡を取れる人々に対し、「ミャンマーの評判はひどく傷ついており、暴力的な取り締まりを続ければ、市民だけでなく近隣諸国の安全にも影響を与える可能性がある」と警告するよう呼びかけた。

バーゲナー特使は近隣諸国の協力と団結が必要不可欠と強調し、来週中に関係諸国を訪問すると述べた。

東南アジア諸国連合(ASEAN)はミャンマー軍に暴力を止めるよう繰り返し呼びかけると主張しているが、制裁については一切言及していない。

ミャンマー軍は先日、独自のゲリラ部隊を持つカチン州の少数民族「カチン族」の集落や施設を空爆し、住民数千人が隣国タイに逃亡した。カチンのゲリラ部隊は中国との国境付近でミャンマー軍と激しい戦闘を繰り広げており、抗議活動は紛争に発展しつつある。

バーゲナー特使はカチン州の戦闘で内戦の危機は最高点に達したと述べた。「カチン族は軍の残虐行為に強く反発しています。少数民族やロヒンギャを含む人道支援を必要とする脆弱な人々はさらにひどく苦しむでしょう」

NLDの代表者などが結成した連邦議会代表委員会(CRPH)は31日、国連のグテーレス事務局長とイギリスの国連大使に書簡を送り、「軍指導者だけでなく軍の資産も凍結する強力な制裁を科すよう安全保障理事会に強く要求してほしい」と訴えた。CRPHは軍とつながりのある企業と石油ガス部門などの主要な収入源の凍結、武器禁輸、国境を超えた支援と人道援助などを求めている。

CRPHの要請を受けたバーバラ・ウッドワード英国連大使は声明で、他の安保理評議会メンバーと次のステップについて話し合うと述べた。「私たちは制裁を含むすべての措置を検討します」

リンダ・トーマス・グリーンフィールド米国連大使は記者団に対し、「私たちは非武装の民間人に対する暴力を決して許さない」と述べた。「評議会は(ミャンマー軍の暴力を止める)最も効果的な方法を見極める必要があります」

一方、ロシアのドミトリー・ポリャンスキー国連大使は30日の会見で、「すべての評議会メンバーは暴力に反対し、ミャンマーの団結が回復することを望んでいます」と語ったが、いくつかの国とメディアは「市民を煽り、抗議を続けるように扇動している」と主張した。

「ミャンマーの内政に干渉することは容認できません。そして、ロシアは制裁と懲罰的措置の大ファンでもありません。私たちは内政干渉という非常に細い線を超えるべきではないと信じています」

2021年3月31日/ミャンマー、ヤンゴン(AP通信)
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