◎ナワルニー氏は弁護士を通して発表した声明の中で、「刑務所の職員は診察および適切な薬へのアクセスを拒否し、睡眠時間を意図的に奪っている」と述べた。
3月31日、投獄されたロシアの野党指導者、アレクセイ・ナワルニー氏は、当局が背中と足の痛みに対する適切な治療を拒否したため、ハンガーストライキで抗議すると宣言した。
ナワルニー氏は弁護士を通して発表した声明の中で、「刑務所の職員は診察および適切な薬へのアクセスを拒否し、睡眠時間を意図的に奪っている」と述べた。
ウラジーミル・プーチン大統領の圧政に抗議し続けてきたナワルニー氏は昨年、ソビエト産神経ガス「ノヴィチョク」による攻撃から生還し、今年1月ドイツから帰国した直後に逮捕された。
ナワルニー氏の逮捕に反対する野党関係者と支持者たちはロシア全土で数万人規模の抗議集会を決行したが、治安当局はこれを力でねじ伏せ、10,000人以上を拘留し、その多くに懲役2週間の懲役刑または罰金を科した。
ナワルニー氏は、昨年8月の神経ガス攻撃の後遺症で腰と足の痛みがひどくなっているように感じると述べた。「投獄以来、腰痛が右足に広がり、左足がしびれ、体調が悪化したため、ハンガーストライキを開始せざるを得ないと思いました。他にできることはありますか?私は診察と薬の権利を取り戻すためにハンガーストライキを宣言しました。私はとても空腹ですが、抵抗します」
ロシアの秘密裁判所は先月、保護観察期間の条件に違反したナワルニー氏に懲役2年8カ月の実刑判決を言い渡した。ナワルニー氏は2014年の横領事件で執行猶予付きの有罪判決を受けていたが、本人は事件への関与を否定し、横領の被害者と信じられている企業も「被害にあった覚えは全くない」と裁判所の判決を非難していた。ヨーロッパ人権委員会は2014年の判決を違法と結論付けている。
ナワルニー氏は今月、モスクワから90kmほど東に位置するウラジーミル地域のIK-2と呼ばれる刑務所に移送された。ここは国内で最も厳しい刑務所と伝えられている。
ナワルニー氏が刑務所長に宛てた手紙の中にはIK-2で撮影された写真も同封されていた。ナワルニー氏は手紙の中で、「すべての受刑者には医師の診察を受け、薬をもらう権利があります。私はこれらの権利を取り戻すまでハンガーストライキを行うと宣言します」と述べた。「刑務所は診察と薬だけでなく、睡眠の権利も奪っています。警備員は1時間に1回私を叩き起こします」
しかし、ロシアの連邦刑事局はナワルニー氏の苦情を却下し、「当局者は医師の診察に基づき、必要な医療と薬を提供しています」と主張した。「警備員は囚人の存在を目視確認するために定期的に見回りを実施していますが、囚人の睡眠を妨げたことは1度もありません」
ナワルニー氏は以前の声明で、イブプロフェン(沈痛藍)は2錠しか与えらず、診断も受けていないと述べていたが、IK-2の刑務所長は「ナワルニー氏の健康状態は安定しており、私たちは満足している」と訴えを却下していた。
フランス政府によると、エマニュエル・マクロン大統領とドイツのアンゲラ・メルケル首相は3月30日に行ったプーチン大統領とのオンライン会談の中で、欧州人権条約に従いナワルニー氏の健康と権利を尊重をするよう訴えたという。
これに対しクレムリンは声明で、「プーチン大統領は両首脳に、ナワルニー氏は適切な環境下で適切な対応を受けていますと説明しました」と述べた。
アメリカ、EU、欧州人権裁判所は、ナワルニー氏に対する有罪判決と支持者への暴力を速やかに停止するようロシアに求めていたが、クレムリンはこの要求を内政干渉と非難し、却下している。
一方、ナワルニー氏の支持者は釈放を要求する新たな抗議を計画しており、参加する意思のある人は全国で少なくとも50万人に達すると予想されている。3月23日に開設された専用サイトの登録者は、3月31日時点で36万人を超えた。