◎米財務省はミャンマー経済公社(MEC)とミャンマー経済ホールディングス(MEHL)をブラックリストに追加したうえでアメリカ国内の資産を凍結し、米市民および企業との取引を禁止した。
2021年3月25日/ミャンマー、ヤンゴンの抗議者たち(ゲッティイメージズ)

3月25日、アメリカとイギリスはミャンマー軍とつながりのある複合企業に制裁を科すと発表した。

ミャンマー経済公社(MEC)とミャンマー経済ホールディングス(MEHL)は、ミャンマーの主要産業の大部分を支配している。

米財務省はMECとMEHLをブラックリストに追加したうえでアメリカ国内の資産を凍結し、米市民および企業との取引を禁止した。

イギリスもMEHLに同様の制裁を科している。

アントニー・ブリンケン国務長官は25日の声明で、「今回の制裁はクーデターを主導する者、軍に利益を与える者および企業、ビルマ(ミャンマー)軍の残忍な弾圧を支援する者を対象としています」と述べた。「ブラックリストに追加された企業はミャンマーの市民に背を向けています」

人権団体と民主活動家たちは、ミャンマー軍に資金を提供する2つの複合企業に対する制裁を求めていた。しかし、2社に制裁を科したのはアメリカだけであり、最大の貿易パートナーであるアジアの関係諸国は制裁について言及していない。

人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの東南アジア担当フィル・ロバートソン氏は、「新しい制裁により、2社は銀行に米ドルの使用を禁止される可能性があります」とツイートした。

一方、国際危機グループのミャンマーの専門家であるリチャード・ホージー氏は、「2社はアメリカとの取り引きでほとんど利益を上げておらず、効果は不十分」と指摘した。また、他の専門家も軍の行動を変化させるにはより強力な行動(ASEANの圧力)が必要と主張している。

2021年3月24日/ブリュッセルのNATO本部、アントニー・ブリンケン国務長官(AP通信/Virginia Mayo/Pool)

ミャンマー最大の都市ヤンゴンの都市開発を行っている多目的開発公社ゴールデンシティは、ミャンマー軍に資金を提供している代表格のひとつと伝えられている。

人権団体ジャスティス・フォー・ミャンマーは、「ゴールデンシティの利益は軍事部門に流用され、市民を殺す戦争兵器に姿を変えています」と述べた。

ジャスティス・フォー・ミャンマーの申し立てにより、シンガポール証券取引所はゴールデンシティの株式を49%保有している上場企業エマージング・タウンズ・アンド・シティズ・シンガポール(ETC)に自社の役割を説明するよう求めている。

ETCはゴールデンシティがミャンマー軍とつながっていることを認めている。しかし、ゴールデンシティの資金が戦争兵器の購入に流用されていることを否定し、「利益はミャンマーの法律に基づき、政府のしかるべき口座で正しく管理されなければならない」とシンガポール証券取引所に説明した。

ETCはゴールデンシティの独立した調査が完了するまでシンガポール証券取引所での取引を禁じられている。

英BBCニュースによると、ETCはゴールデンシティとの取り引きに関する取材を拒否し、シンガポールのミャンマー大使館も取材に応じなかったという。

ミャンマーの主要貿易パートナーは中国とタイだが、最大の投資国はシンガポールであり、ミャンマー政府の統計によると、過去5年間の投資額は約1.2兆円に上るという。

東南アジア諸国連合(ASEAN)はミャンマー軍に平和的な解決を求めているが、制裁には一切言及していない。

軍のミン・アウン・フライン司令官は2月1日の軍事クーデターでアウンサンスーチー氏と国民民主連盟(NLD)の高官らを拘束し、非常事態を宣言した。

治安部隊は抗議者に対する取り締まりを2月末に強化した。地元メディアと政治犯支援協会(AAPP)によると、抗議活動中に死亡した市民は250人を超えたという。23日には7歳の女児が家宅捜索中に射殺されている。

アフィリエイト広告
スポンサーリンク