◎野党議員と支持者らは、ナゴルノ・カラバフ紛争の和平協定で自国の領土をアゼルバイジャンに明け渡したニコル・パシニャン首相を非難し、速やかに辞任するよう求めていた。
2021年3月3日/アルメニア、首都エレバン、ニコル・パシニャン首相(Tigran Mehrabyan/AP通信)

3月18日、野党の辞任要求に直面しているアルメニアのニコル・パシニャン首相は、6月に解散総選挙を行うと発表した。

野党議員と支持者らは、ナゴルノ・カラバフ紛争の和平協定で自国の領土をアゼルバイジャンに明け渡したパシニャン首相を非難し、速やかに辞任するよう求めていた。

パシニャン首相は議会の野党勢力との会談後、6月20日に早期議会選挙を行うと述べた。

一方、野党勢力は選挙をめぐって意見が分かれたと伝えられている。野党が次期首相に指名したベテラン政治家のワズゲン・マヌキアン氏はパシニャン首相の提案を拒否し、もう一人の首相候補である元国家安全保障局長のアルトゥール・バネシアン氏は受け入れたという。

アルメニアは昨年9月末に本格化したナゴルノ・カラバフをめぐるアゼルバイジャンとの紛争で屈辱的な敗北を喫し、その後の政治的緊張に悩まされていた。

野党支持者たちは敗北宣言と呼ばれた和平協定を却下し、現在もパシニャン首相の辞任を求め政府庁舎に通じる道路をバリケードで封鎖している。

一方、パシニャン首相は辞任要求を拒否し、和平協定に合意しなければ、ナゴルノ・カラバフ全土をアゼルバイジャン軍に占領されていたと主張した。

ナゴルノ・カラバフは公式にはアゼルバイジャンの領土だが、1994年の紛争終結以来、アルメニア民族軍の支配下に置かれていた。

トルコの支援を受けるアゼルバイジャンは最新鋭のドローン爆撃機などでアルメニア軍を圧倒し、ナゴルノ・カラバフ全土を手中に収める勢いで侵攻した。その後、ロシアが提案した和平協定も速やかに受け入れている。

和平協定により、アゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフの主要都市を奪取し、そこで生活していた多くのアルメニア人は土地を追われた。

パシニャン首相はナゴルノ・カラバフを明け渡したにもかかわらず高い支持率を維持しており、反対派の辞任圧力に抵抗し続けた。

18日、首都エレバンの行政裁判所は、パシニャン首相が軍のトップに出した解任要求を却下した。パシニャン首相はナゴルノ・カラバフ紛争に関連する問題でティラン・ハチャトリアン中将(副長官)とオニーク・ガスパリアン准将(参謀長)の解任を要求していた。

判決後、パシニャン首相の報道官は声明で、「裁判所の判決は違法であり受け入れられません」と述べた。

地元メディアによると、ガスパリアン准将はいつもと変わらぬ様子で職場に姿を現したという。

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