◎アルメニアの野党議員と数千人の支持者たちは首都エレバンの国会議事堂を取り囲み、ニコル・パシニャン首相の辞任を要求した。
3月9日、アルメニアの野党議員と数千人の支持者たちは首都エレバンの国会議事堂を取り囲み、ニコル・パシニャン首相の辞任を要求した。
パシニャン首相は昨年発生したナゴルノ・カラバフをめぐるアゼルバイジャンとの紛争を和平協定で終結させたが、野党は和平協定を「敗北宣言」と嘲笑し、広範な抗議活動で首相に辞任するよう求めている。
先月末、パシニャン首相は軍のティラン・ハチャトリアン中将(副長官)の解任を要求した。しかし、オニーク・ガスパリアン准将(参謀長)はこの要求を却下したうえで、「我慢の限界」とパシニャン首相を威圧した。
パシニャン首相はガスパリアン准将の威圧行為を「軍事クーデター」と非難し、准将も解任すると発表したが、アルメン・サルキシャン大統領は2人の解任要求を却下している。
野党議員は支持者に議会を封鎖するよう促し、パシニャン首相に圧力をかけた。その結果、数千人の野党支持者が国会議事堂を取り囲み、警察との小競り合いに発展した。
野党が次期首相に指名したベテラン政治家のワズゲン・マヌキアン氏は声明で、「軍は首相の解任要求を受け入れないだろう」と述べた。
「軍はナゴルノ・カラバフ紛争の交渉でパシニャン首相が致命的なミスを犯したと確信している。彼らは決して後退しないだろう」
一方、パシニャン首相は2021年後半に内閣を解散すると申し出たが、辞任は拒否している。
野党の祖国救済運動を率いる国家安全保障局の元局長、アルトゥール・ヴァネシアン氏は、「次の議会選挙をパシニャンの支配下で行ってはならない」と強調した。
ナゴルノ・カラバフ(アルツァフ共和国)は公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、1994年の紛争終結以来、アルメニア人の土地として管理されてきた。
アルメニア軍とアゼルバイジャン軍は、昨年9月末に本格化したナゴルノ・カラバフ紛争で激しく衝突し、戦闘は約1カ月半続いた。両軍の死者数は6,000人を超え、ナゴルノ・カラバフで生活していたアルメニア人は土地を追われている。
アゼルバイジャンの市民はナゴルノ・カラバフの奪還を「歴史的勝利」と祝ったが、領土を奪われたアルメニアの一部の市民は「屈辱的敗北」「恥辱」とパシニャン首相を厳しく非難した。
パシニャン首相はナゴルノ・カラバフの完全制圧を防ぐ唯一の手段が和平協定だったと主張している。