◎2月11日の集会には少数民族も多数加わり、全国各地で大規模な抗議が行われた。
◎アメリカのジョー・バイデン大統領は10日の記者会見で、ミャンマーの軍事政権に関わる個人や団体に制裁を科す大統領令に署名したと発表した。
2021年2月11日 AP通信/ミャンマー、マンダレー

軍事クーデターで政権を奪取したミン・アウン・フライン司令官に対する抗議は日を追うごとに勢いを増し、最大の都市ヤンゴンと第二の都市マンダレーには数万人規模の市民が集まった。

ミャンマーの市民の抵抗は世界に波及し、軍事政権は厳しい制裁に直面している。アメリカのジョー・バイデン大統領は10日の記者会見で軍関係者に制裁を科すと発表し、拘束したすべての政府関係者を速やかに解放するよう呼びかけた。

2月11日の集会には少数民族も多数加わり、全国各地で大規模な抗議が行われた。

抗議の参加者には工場労働者、公務員、学生、教師、医療関係者、警察官、その他様々な分野の人々が含まれている。LGBTQの団体は虹色の旗を掲げ、仏教徒と聖職者も多数参加した。

カヌー州東部の小さな村では42人の地元警察官が抗議への支持を表明し、上司の職場復帰要求を却下した。住民たちは軍に立ち向かう警察官を保護するために抗議現場に流れ込んだという

ダウェイ州南部の都市に集まった数千人の抗議者たちは、ミン・アウン・フライン司令官のポスターを踏みつけ、アウンサンスーチー氏の解放を呼びかけた。

国民民主連盟(NLD)の高官、関係者、そしてアウンサンスーチー氏は、現在自宅軟禁下に置かれている。

軍は声明で、「スーチー氏は自宅に無線機(トランシーバー)を違法に輸入した罪で起訴される」と発表した。

ミャンマーで活動する政治犯支援協会によると、これまでに少なくとも200人の政治家と活動家が逮捕されたという。

2021年2月11日 AP通信/ミャンマー、マンダレー

軍は後退の兆候を見せておらず、2月10日遅くにNLDの関係者や他の政治家を複数名逮捕した。また、昨年11月の選挙でスーチー氏の圧勝を証明した州選挙委員会のメンバーも、自宅から連れ去られたと報告されている。

1日の軍事クーデターは昨年11月の選挙が不正行為によって傷つけられたという主張に基づいて決行されたが、選挙委員会はその証拠を見つけることができず、軍の訴えを1月末に却下している。

ミン・アウン・フライン司令官は1年間の非常事態を宣言し、再選挙の勝者に権力を移行すると誓ったうえで、「新しい選挙委員会が再選挙を監視する」と発表した。

ヤンゴンの抗議に参加した少数民族の参加者は、カラフルな伝統衣装で軍事政権の撤退を要求した。

一方、国の中心部から遠く離れたシャン、カレン、カチン、カヤーなどでも少数民族を含む数千人が毎日抗議を行っている。

ロヒンギャを含む少数民族は軍の弾圧の標的になり、残虐な対反乱作戦は自治権を求める市民の願望を数十年に渡って打ち砕いてきた。

軍は大都市でも躊躇することなく武力を行使してきた。

ネ・ウィン将軍率いる陸軍は1962年の軍事クーデターでミャンマーを支配し、軍事政権は約50年間市民を厳しく統治した。

1988年の8888蜂起では数百万人が軍事政権の撤退と国の民主化を求め、軍は市民に銃弾を撃ち込み、300人~10,000人(数万人という説もある)を銃殺した。

西側は数十年に渡ってミャンマーに制裁を科してきたが、2010年と2015年の選挙で民主主義に向けた暫定的な措置が示されたため、制裁は段階的に緩和された。

バイデン大統領は10日の記者会見で、ミャンマーの軍事政権に関わる個人や団体に制裁を科す大統領令に署名したと発表した。

バイデン大統領は記者団に対し、「今週、強力な輸出規制を発動する。ャンマーの市民にのみ利益をもたらすヘルスケアなどの分野への支援を維持しながら、軍事政権に利益をもたらすアメリカの資産は凍結する」と述べた。

ジョー・バイデン大統領:
「将軍(ミン・アウン・フライン司令官)がアメリカで保有している政府の資金(10億ドル)にアクセスすることを防ぐための措置を講じた」

アメリカの制裁が軍事政権にどのような影響を与えるかはまだ分からない。ミン・アウン・フライン司令官を含む軍指導者の多くは、ロヒンギャに対する攻撃を主導したとして、すでに制裁を受けている。

2021年2月11日 AP通信/ミャンマー、マンダレー
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