◎EUで2020年に発電された再生可能エネルギー量が初めて化石燃料を上回った。
◎EUの発電時に発生する温室効果ガスの排出量は2015年から大きく減少し、2020年時点で29%減少した
エンバーとアゴラ・エネルギーウェンデの年次報告書によると、EUで2020年に発電された再生可能エネルギー量が初めて化石燃料を上回ったという。
英シンクタンクのエンバーは報告書の中で、「昨年のEUの再生可能エネルギー発電量は全体の38%、化石燃料は37%だった」と報告した。
欧州各国は風力や太陽光発電などの設備に予算を投じ続けてきた。
報告書によると、再生可能エネルギーの割合は2010年からほぼ2倍になり、化石燃料は2010年から約12%減少したという。
また、石炭火力発電の割合は2012年から約12%減少し、2020年の総発電量に占める割合は13%まで低下している。
Emberの電力アナリストのデイブ・ジョーンズ氏は声明の中で、「風力と太陽光の急速な成長により石炭は衰退しましたが、これはほんの始まりに過ぎません」と述べた。
デイブ・ジョーンズ氏:
「ヨーロッパは石炭火力発電を2030年までに段階的に廃止するだけでなく、ガス生成も段階的に廃止し、風力と太陽光の強化をさらに進め、停止中の原子力発電所に変わる新たな電力システムを構築します」
2020年のEUの電力需要はコロナウイルスの影響で減少した。
研究者たちは、「欧州の2020年の電力需要は前年から4%減少し、再生可能エネルギーの成長はコロナの影響を受けなかった」と報告した。
また、EUの発電時に発生する温室効果ガスの排出量は2015年から大きく減少し、2020年時点で29%減少したという。
EUの首脳は昨年末の首脳会談で、温室効果ガスの排出量を2030年までに1990年の値から55%削減すると誓約した。
アメリカでも再生可能エネルギーが台頭している。昨年5月、再生可能エネルギーの発電量が1885年以来初めて石炭火力発電を上回った。
アゴラ・エネルギーウェンデのディレクター、パトリック・グレイヘン氏は声明の中で、「パンデミック後の景気回復を言い訳にして気候変動対策を遅らせてはいけない」と述べた。
パトリック・グレイヘン氏:
「温室効果ガスの削減と気候変動対策を着実に進めるためには、グリーンニューディールのような強力な政策が必要です」
<報告書の要点>
・EU2020年再生可能Eの割合:38.2%
・ 〃 化石燃料の割合:36.97%
・ 〃 風力・太陽光の割合:19.57%
・ 〃 石炭火力の割合:13.22%
・EU2020年風力は前年から9%増
・ 〃 太陽光は前年から15%増
・ 〃 石炭火力は2015年から12%減
・ 〃 温室効果ガスは前年から4%減
・ 〃 温室効果ガスは2015年から29%減