◎民主党がジョージア州上院の2議席を獲得。
◎この勝利で上院の勢力は「民主党50ー共和党50」になり、上院を主催するカマラ・ハリス次期副大統領に決定票を投じる権利が与えられた。
1月6日、アメリカの主要メディアはジョージア州上院決戦投票(通常・補欠)の勝者を民主党と予測し、候補者2人はそれぞれ勝利宣言した。
<ジョージア州上院通常選挙:開票率99%>
・共和党 デイビッド・パデュー 2,203,324票
・民主党 ジョン・オソフ 2,238,939票 win
<ジョージア州上院補欠選挙:開票率99%>
・共和党 ケリー・レフラー 2,184,454票
・民主党 ラファエル・ワーノック 2,257,858票 win
民主党はこの勝利で上下両院を支配することが確定した。なお、オソフ氏のリードは約34,000票(総投票の0.7%)で、共和党が再集計を要求できる0.5%をわずかに上回っている。
共和党はトランプ大統領とマイク・ペンス副大統領の応援演説もむなしく、上院の支配権を失った。
牧師として活動してきたワーノック氏は、ジョージア州初の黒人上院議員として職務にあたる。
ワーノック氏はABCニュースの取材に対し、「人々を分割しようとした古い南部の戦略に勝利した」と述べた。
オソフ氏はメディアが勝利予測を発表する前に勝利宣言した。
「この選挙に参加してくれたジョージアの市民に感謝する。私は私に投票した人と反対した人のために働く。私は上院議員としてアメリカに尽くすと約束する」
今回の勝利で上院の勢力は「民主党50ー共和党50」になり、上院を主催するカマラ・ハリス次期副大統領に決定票を投じる権利が与えられた。
ねじれが解消されたことで、ジョー・バイデン次期大統領はコロナウイルスや気候変動の問題に関する法案を通過させやすくなった。また、上院は内閣および司法のポストを決める権限も持っている。
バラク・オバマ前大統領は声明で、「2人の勝利はバイデン大統領の勝利と全く同じである。2人は努力を惜しまず、草の根の活動を続け、ステイシー・エイブラムスと同じリーダーシップを示し、勝利した」と述べた。
2018年に同州の民主党候補として州知事選に出馬したエイブラムス氏は、投票権グループ「フェアファイト」を創設し、有色人種を含む多くの市民を新たに有権者登録したことで賞賛されている。
ジョージア州選挙当局は1週間後の1月15日までに投票結果を証明する必要がある。その後、同州のブラッド・ラフェンスパーガー州務長官が結果を承認することで、2人の勝利が確定する。(州務長官の承認期限は1月22日)
上院の体制確定はコロナ救済法案第三弾「CASH法案」に大きな影響を与える。民主党上院は体制確定後速やかに同法案を通過させ、1人600ドルの直接支給を2,000ドルに引き上げる予定と伝えられている。
共和党のミッチ・マコーネル上院院内総務から仕事を引き継ぐ民主党のチャック・シューマ―上院少数党首は声明で、「コロナ救済の支給が最優先事項の1つ」と語った。
チャック・シューマ―上院少数党首:
「新しい上院議員が到着次第、私は2,000ドルの小切手を市民に届ける」
「ここに到達するまでの道のりは平坦ではなかったが、私たちはたどり着いた」
CASH法案
・CASH法案:COVID-19経済救済法の直接支給「1人600ドル」を2,000ドルに増額する
2020年12月28日、下院通過
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2021年????、上院通過
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2021年????、大統領署名
・COVID-19経済救済法:9,000億ドル
2020年12月20日、上下両院の指導者が合意に達する
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2020年12月21日、下院通過
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2020年12月21日、上院通過
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2020年12月27日、トランプ大統領署名
・コロナ援助、救済、および経済安全保障法(CARES法):2.2兆ドル(230兆円)
2019年7月下院通過
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2020年3月25日上院通過
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2020年3月27日下院、上院の修正に同意
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2020年3月27日トランプ大統領署名
COVID-19経済救済法の予算内訳
(赤字はCASH法案が成立した場合)
・大人と子供1人あたり最大600ドルの直接支払い
・大人と子供1人あたり最大2,000ドルの直接支払い
・中小企業への支援 ペイチェック保護プログラム(PPP):2840億ドル以上
・ライブ会場、独立した映画館、文化施設などへの支援:150億ドル
・失業手当:週300ドル
・立ち退きモラトリアム延長:250億ドル
・学校や大学などの教育機関への支援:820億ドル
・育児支援:100億ドル
・栄養支援プログラム:130億ドル
・リモート接続およびブロードバンドアクセス強化:70億ドル
・コロナウイルスワクチンの輸送費:80億ドル
・コロナウイルスワクチンの接種費用(市民への無料配布):200億ドル
・航空業界への支援:450億ドル
(空港に20億ドル、アムトラックに10億ドル、航空会社に160億ドル、その他)
・有給の病気休暇を提供する雇用主への支援:税額控除