ドナルド・トランプ大統領と関係者は、選挙結果にしつこく異議をとなえ、各地で訴訟攻撃を仕掛けている。
しかし、詐欺や不正行為を反抗的に主張するものの、決定的な証拠を提示することはできず、申し出はほとんど却下されてしまった。
チームトランプの主な主張は次の通り。
主張1:登録有権者より多くの票が投票された
反抗的なトランプ大統領は、登録有権者より多くの票が投票されたと証拠を提示せずに繰り返し主張している。
最新の主張はミシガン州に焦点を当てていた。
チームトランプは、一部の地域で投票率が100%を超えたと主張し、「過大投票」による選挙の無効を訴えた。
この主張の出自は、元共和党議員、ラス・ラムスランド氏がSNSに投稿した根拠のない文書と思われる。
ラムスランド氏の資料によると、19のエリアで投票率が100%を超えたという。
ただし、19のエリアはミシガン州ではなくすべてミネソタ州だった。
資料によると、リストのトップ、ミネソタ州ベルトラミー郡ベンビルタウンシップの投票率は350%を記録したという。
しかし、19の地区の投票率を確認したところ、すべて100%未満であることが判明した。
トランプ大統領はミシガン州デトロイトでも「登録有権者より投票数の方がはるかに多かった」としつこく主張している。
なお、デトロイトの投票率は50%弱だった。
In certain swing states, there were more votes than people who voted, and in big numbers. Does that not really matter? Stopping Poll Watchers, voting for unsuspecting people, fake ballots and so much more. Such egregious conduct. We will win!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) November 23, 2020
In Detroit, there are FAR MORE VOTES THAN PEOPLE. Nothing can be done to cure that giant scam. I win Michigan!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) November 18, 2020
主張2:民主党の票数が突然急増した
トランプ大統領や他の共和党員などは、「ジョー・バイデン氏の票が突然急増した」「見たことのない票が突然現れた」としつこく主張している。
トランプ大統領の個人弁護士、ルディ・ジュリアーニ氏は19日の記者会見で、何千もの追加の投票用紙がデトロイトの集計所に到着したと述べた。
ジュリアーニ氏は、「集計所に食料を運ぶ2台のバンから選挙スタッフが出てくるところを見た!!」と反抗的に述べた。
「バンからスタッフが出てくるなんておかしい。最後のバンが去ってから2時間も経たないうちに、バイデン氏に10万票以上が追加された。おかしい!!」
しかし、この主張およびその他の主張は11月13日の判決で却下された。裁判所は判決の理由について、「証拠がなく、信用できない」と述べた。
ミシガン州やウィスコンシン州でも票の急増が指摘されている。
急増の理由は、集計の発表タイミングのズレやチェックの遅れ、ソフトウェアの不具合など様々である。
なお、バイデン氏の票だけ都合よく急増したという証拠は見つかっていない。
主張3:バイデン氏がトランプ大統領の票を奪った
トランプ大統領の法務チームは、いくつかの激戦州で投票システムに問題が発生し、バイデン氏がトランプ大統領の票を何百万票も奪ったと主張している。
なお、この主張の証拠は一切提示されていない。
トランプ大統領は今回の選挙で使用されたドミニオン・ヴォーティング・システムズの投票機について、保守的な報道機関、ワン・アメリカ・ニュース・ネットワーク(OANN)が報じた主張を繰り返し引用している。
OANNはレポートの中で、選挙監視グループのエジソン・リサーチ社から入手した「データの未監査分析」に言及し、数百万の票が不正に投票されたと述べた。
しかし、エジソン・リサーチ社のラリー・ロージンCEOは、「そのような報告書は作成しておらず、不正投票の証拠もない」とOANNの報道に猛反発している。
また、ドミニオン・ヴォーティング・システムズも、「投票機の不正操作に関する申し立ては100%誤り」と声明を発表した。
主張4:投票機は民主党が所有している
チームトランプは、民主党のクリントン夫妻とナンシー・ペロシ下院議長がドミニオン・ヴォーティング・システムズを所有していると指摘。この発言に勢いづいたトランプ大統領は、「急進的左派所有のドミニオン投票システム」と述べた。
これに対しドミニオン・ヴォーティング・システムズは声明の中で、「クリントン夫妻およびペロシ下院議長と当社は所有関係にない」と主張を却下した。
27日、最近大統領の法務チームから除外された陰謀論者のシドニー・パウエル弁護士は、「ドミニオン・ヴォーティング・システムズの投票機がバイデン氏に何千もの票を与えた」というインターネット上に拡散した陰謀論に触発され、ジョージア州で新たな訴訟を起こしている。
パウエル弁護士は声明の中で、「アメリカの選挙の基盤は透明だった。しかし、11月3日にジョージア州で行われた選挙は秘密とエラーに満ち、結果を証明できないひどい異常に直面している」と述べた。
「したがって、11月3日の結果は却下しなければならない。ジョージア州は憲法違反ウイルスに感染している」
トランプ政権のサイバーセキュリティ担当、ジョージア州の民主党と共和党のベテラン選挙当局者はこの主張を事実無根と却下している。
ドミニオン・ヴォーティング・システムズは、パウエル弁護士の訴えに反論する声明を27日に発表した。
「奇妙な不正選挙の陰謀・・・そのような異常事態は発生しなかった」
「パウエル弁護士の野蛮で無謀な主張は、当社の従業員にストーカー行為、嫌がらせ、殺害予告などの脅迫をもたらした」
「私たちは、パウエル弁護士と彼女の不正行為を支援し、賭けている人々に責任を負わせる」
ドミニオン・ヴォーティング・システムズはロビー活動を行っており、民主党と共和党の両方に寄付している。
2014年にはクリントン財団に寄付したが、トランプ大統領の同盟国、ミッチ・マコーネル上院院内総務にもしっかり寄付している。
主張5:何千もの死者が投票した
トランプ大統領と支持者たちは、何千もの死者が投票を行ったと主張している。
激戦州ミシガンで「死亡宣告された10,000人のリスト」をBBCニュースがチェックしたところ、大きな欠陥が明らかになった。
また、他の死亡した有権者リストも調査の結果、同様の結論に至ったという。
なお、誤って死亡宣告された人の代わりに第三者が不正に投票したという証拠は一切提示されていない。
フォックスニュースはチームトランプの主張を繰り返し報道したが、ジョージア州で調査を行った結果、当事者の生存を確認したとして、後日謝罪している。
生きているのに死亡宣告される事象は、「同姓同名者の死亡記録」「生年月日の合致」「よく似た郵便番号や住所」などが組み合わさって発生するという。