2013年6月28日 AP通信/エチオピア、ベニシャングルグムズ地域、大エチオピア再生ダム建設の様子

21日、スーダン政府は大エチオピア再生ダムの交渉をボイコットし、アフリカ連合(AU)に長年停滞している交渉を推進するよう求めた。

同ダムの交渉に参加している国はエチオピア、エジプト、スーダンの3ヵ国。

スーダンが交渉への参加を拒否したのは初めて。同国はナイル川の上流に建設される巨大ダムが下流域の水供給に深刻な影響を与える可能性があると長年懸念を表明してきた。

スーダンのヤセル・アッバス灌漑(かんがい)相は声明の中で、「ダムの充填と運用における現在の話し合いは成果を上げておらず、AUは交渉を促進し、3か国のギャップを埋めるためにもっと努力すべきだ」と述べた。

今回のボイコットは、支援に関する調整で主導的な役割を果たしてきたAUの立場を狂わせる可能性がある。

ロイター通信/エチオピア、ベニシャングルグムズ地域、大エチオピア再生ダム建設の様子

19日、3か国の外相と灌漑相は2週間ぶりにオンラインで会合した。

AU、エジプト、エチオピア、AU執行評議会議長の南アフリカはスーダンのボイコット表明に対し、まだ声明を発表しておらず、交渉再開時期は不明。

アフリカ最大の水力発電ダムはエジプトとの深刻な緊張を引き起こしており、同国はナイル川の水量と水の供給に深刻な影響が出ることを懸念している。

一方、エチオピアは、46億ドル(約4,800億円)の巨大ダムが何百万もの人々を貧困から救う原動力になると述べている。

スーダンは安価な電力の供給に期待しつつも、エジプトと同じく水の供給に影響が出る可能性を指摘した。

大規模な干ばつなどの影響でナイル川下流に放出する水量が減った場合、川の水に依存するエジプトとスーダンは深刻な影響を受けるだろう。なお、エチオピアは建設の最終段階で、拘束力のある水不足対応に関する仲裁への合意を拒否した

またエチオピアは、ナイル川の近隣諸国との緊張だけでなく、今月初めに北部ティグライ地域で発生した紛争に悩まされている。

エチオピア政府とティグレ人民解放戦線(TPLF)の戦闘は、隣国スーダン、ソマリア、エリトリア国を巻き込む恐れがある。

すでに35,000人以上のエチオピア難民がスーダンに逃げ込んでおり、国連は「本格的な人道的危機」が発生していると警告した。

2月、エチオピアは同ダムに関連するアメリカ政府の草案を拒否し、ダムに水を貯める最初の工程を開始した。これに対しホワイトハウスは、同国への援助、数百万ドルを一時停止している。

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