12日、抗議集会に参加していた31歳の野党指導者、ラマン・バンダレンカ氏がアレクサンドル・ルカシェンコ大統領率いる治安維持部隊に暴行を受け、死亡した。
ヨーロッパ最後の独裁者に抗議する集会は一向に収まる気配を見せない。
8月9日の不正選挙以来、平和的に抗議を行ってきた市民17,000人以上が拘留され、そのうち数千人が留置場などで殴打されたと人権団体は伝えている。
13日、治安維持部隊に殴り殺されたバンダレンカ氏を称える人々が首都ミンスクに集まり、その死を悼んだ。
ビアスナ人権センターのアレス・ビアリアツキー氏はABCニュースの取材に対し、「ラマンは私服警官に拘束され、別の警察官に引き渡された」と語った。
アレス・ビアリアツキー氏:
「彼はバンの中で殴打され、頭部に深刻な外傷を負った。しかし、警察官は彼を2時間放置した」
ベラルーシ当局はバンダレンカ氏をミンスクの警察署から病院に移送したと主張、警察官による暴行を否定した。
またベラルーシの調査委員会はバンダレンカ氏が「アルコール中毒」の兆候を示していたと述べ、一連の報道を却下している。
事件を受け、EUはベラルーシを厳しく非難した。
EUの外交・安全保障政策担当のピーター・スタノ報道官は声明の中で、「ベラルーシ当局による自国民への抑圧と暴力の結果だ」と述べた。
ドイツ外務省のクリストファー・バーガー報道官は事件を「失望」と呼び、「ベラルーシ政府の暴力と弾圧の規模は衝撃的」と述べた。
国連人権高等弁務官の報道官、ルパート・コルビル氏も、「ベラルーシ政府は人権侵害を犯すために、公務員を行使し続けている」と非難した。
リトアニアに亡命を余儀なくされている野党党首のスヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏は声明の中で、「彼は自由な国で生活したいと思い、殺された」と述べた。
スヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏:
「罪のない市民を殺す者たちには決して従わない」
地元メディアのインタビューに答えたルカシェンコ大統領は、バンダレンカ氏の両親に哀悼の意を表し、「事件は公正かつ客観的に調査される必要がある」と語った。
しかし、進行中の抗議活動については、「革命を狙うクーデターであり、一切容認できない」と主張。「革命は国家を弱体化させ、市民を貧しくするだろう」と述べた。
一連の抗議活動の犠牲者は、バンダレンカ氏を含めて4人と報告されている。
この日、ベラルーシの捜査委員会は、8月10日の抗議活動で死亡したアレクサンダー・タライコフスキー氏の調査を中止すると発表した。
当局は同氏の死について、「手に持っていた爆発物が爆発して死亡した」と述べたが、現地に居合わせたパートナーは「治安維持部隊に銃殺された」と主張している。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はビデオメッセージの中で、「EU加盟国にベラルーシの抗議者への経済的支援を準備するよう要請した」と述べた。
ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長:
「EUは民主主義への変化を支援し、それに伴う全ての経済的手段を動員する準備ができている。私たちの立場を明確にし、より強力な行動で変化を強制する」
EUはルカシェンコ大統領および政府高官に制裁を科している。
・EU、ルカシェンコ大統領への制裁を発動