シンガポール・チャンギ空港
シンガポール・チャンギ空港は、弱まる兆しを見せないコロナウイルスの影響について、「危機的な状況にある」と警告する。
アジアのハブは8年連続で「世界最高の空港」に選ばれている。
チャンギ空港のフライト数は歴史上最低レベルにまで落ち込み、2つのターミナルが閉鎖された。また、5番目のターミナル建設を少なくとも2年停止、先の見えない厳しい戦いに備えている。
チャンギエアポートグループの年次報告書には、「コロナウイルスとの戦いはまだ始まったばかり」「衰退の兆しを見せないウイルスの力を見ると気が遠くなる」と書かれている。
同社が2019年に蓄積した利益は一掃された。年次報告書によると、2020年3月までの年間利益は昨年比で36%減、4億3,500万シンガポールドル(3億1900万ドル/338億円)だった。
2019年、チャンギ空港は140,000㎡の商業複合施設をオープンした。熱帯雨林、生け垣の迷路、世界で最も高い屋根から落ちる滝、モール、アトラクションなどには数千から数万人単位の人々が連日足を運んだ。
この新しい施設が航空利用者減少の打撃を和らげ、2019年度収益を2.6%増の31億シンガポールドル(22.8億ドル/2,420億円)まで押し上げた。
しかし、世界最高の空港はコロナウイルスに圧倒されており、アジアのハブとして機能しない限り、2020年度収益は危機的なものになるだろう。
チャンギ空港の年次報告書:
「航空業界の未来は、各国の国境管理、空の旅の要件の緩和、ウイルスの治療およびワクチンの確立に大きく依存している」
【関連トピック】
・コロナウイルスは飛行機を格納庫に追いやり、航空券価格を上昇させる
・世界最大の航空会社が従業員19,000人を解雇
・ユナイテッド航空は従業員36,000人に別れを告げる
・カンタス航空/従業員6,000人にSay Goodbye
CARES法
アメリカの航空会社は、新しい経済救済計画をめぐる議会での交渉が行き詰まったため、労働者を解雇し始めている。
業界最大手のアメリカン航空は19,000人、ユナイテッド航空は13,000人の人員削減を決定している。
アメリカ経済を支えてきた航空各社は連邦政府から数十億ドルを受け取り、約半年コロナウイルスと戦ってきた。
アメリカン航空のダグ・パーカーCEOは解雇する従業員に充てた手紙の中で、「この結果に到達したことは非常に残念である。皆さんにふさわしい結果ではない」と述べている。
ユナイテッド航空の幹部は、「リーダーたちと妥協点を見出し、今すぐ取引を開始し、仕事の節約を求めていく」と全従業員にメッセージを送った。
ユナイテッド航空のメッセージ:
「私たちは行政、議会、組合と交渉し、CARES法が延長されれば一時解雇のプロセスを逆転させることができると主張してきた」
「出発する13,000人の従業員と家族に感謝する。あなたの献身に感謝する」
航空各社の人員削除は、苦戦しているアメリカ経済のフォローアップ救済計画(パート2)にかかっており、混乱を招いた財務省のスティーブン・ムニューシン財務長官とナンシー・ペロシ下院議長への圧力は日に日に強まっていた。
先週、下院は民主党の要求する2.2兆ドル(230兆円)のフォローアップ救済計画を可決。ホワイトハウスの要求案1.6兆ドルを却下した。なお、これには航空各社への支援、約200億ドルが含まれている。
可決後、ペロシ下院議長はホワイトハウスとの交渉を継続すると発表、上院通過を狙うが、行き詰まりを打破できるかは不透明な情勢である。
ペロシ下院議長「より大きな刺激なしに航空会社への援助はない」