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▽トランプ大統領は1期目を通じて実践してきたイランに対する厳しい経済制裁を再開する大統領令に署名。イランの主要収入源である石油産業を標的とする制裁措置が発動した。
イランの油田(Getty Images)

米財務省は16日、イランへの圧力を強める取り組みの一環として、中国を拠点とする民間製油所を制裁リストに追加した。

この製油所は「ティーポット」と呼ばれ、比較的小規模な民間の製油所である。米政府は先月にも別の中国ティーポットがイラン産原油を輸入したとして制裁を科していた。

米財務省は声明で、「トランプ(Donald Trump)大統領がイランに対する最大限の圧力キャンペーンを復活させようとしている中、イラン産原油を秘密裏に輸入する中国業者を制裁リストに追加した」と述べた。

トランプ政権は今月、イランの核開発計画をめぐる交渉を再開。先週末にはオマーンで、今週末にはローマで2回目の交渉が行われる予定だ。

財務省は10億ドル以上のイラン産原油の密輸に関与したとして、中国のティーポット製油所に制裁を科した。トランプ政権がティーポットに制裁を科したのは2例目である。

米国はこれまで、中国のティーポット製油所について、米国の金融システムへのエクスポージャーが少ないこともあり、重視してこなかった。

中国の国営石油会社は制裁に抵触する懸念からイラン産原油の輸入を中止している。

米財務省は制裁を回避して原油の密輸に使用しているイランの「影の船団」の一部として、中国へのイラン産原油の輸送に関与したとされるいくつかの企業と船舶に対しても制裁を科した。

第1次トランプ政権は2018年、イラン核合意から一方的に離脱し、イランに厳しい経済制裁を科した。

イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。イランは24年末の時点で60%の高濃縮ウランを200キログラム近く保有している。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

イランは長い間、核兵器開発を否定してきた。しかし、イランはウラン濃縮を加速させ、兵器級とされる90%に近い60%の濃縮を続けている。

トランプ氏は1期目を通じて実践してきたイランに対する厳しい経済制裁を再開する大統領令に署名。イランの主要収入源である石油産業を標的とする制裁措置が発動した。

米エネルギー省の推計によると、イランの23年の石油輸出額は530億ドル、24年は540億ドルとなっている。24年中の生産量は18年以来最高水準となった。

トランプ氏は最初の任期中、厳しい制裁を科し、イランの石油輸出をほぼゼロに追いやった。イランはバイデン政権下で制裁逃れに成功、輸出量は増加した。トランプ氏はこれを再びゼロにするつもりでいる。

米国はイランに核開発の放棄を迫っている。イランは平和利用であることを理由にこれを拒否し、米国に制裁を解除するよう求めている。

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