▽ラカイン州は現在、内戦の焦点となっている。
ミャンマー西部ラカイン州に拠点を置く反政府ゲリラ「アラカン軍」は20日、軍事政権との戦いで大きな勝利を収めたと明らかにした。
中国やタイが内戦終結に向けた努力を続ける中、アラカン軍の報道官はAP通信の取材に対し、「ラカイン州の国軍司令部全体を完全に掌握し、その最高責任者である准将らを捕らえた」と語った。
軍政はコメントを出しておらず、軍がラカイン州でどのような動き見せているかは分かっていない。
一部の独立系メディアは関係者などの話しとして、「ラカイン州の軍部隊は降伏するか、民主派勢力に寝返った」と伝えている。
ラカイン州は現在、内戦の焦点となっている。
北東部シャン州を支配する「MNDAA(ミャンマー民族民主同盟軍)」とタアン民族解放軍(TNLA)、アラカン軍、東部カレン州の少数民族ゲリラ「カレン民族同盟(KNU)」、チン州の反体制派「チン民族戦線(CNF)」などからなる民主派勢力は昨年10月、中国国境に近い北部で反攻を開始。複数の地域から国軍を追い出した。
これらの反体制派は民主派政治組織「挙国一致政府(NUG)」や人民防衛軍(PDF)と連携し、国土の半分以上を掌握。軍政に圧力をかけている。
ラカイン州の司令部陥落により、同州も民主派勢力の支配下に置かれる可能性が高まった。
今年8月にはMNDAAがシャン州の軍司令部を完全制圧。軍は全国に14の地域司令部を置いている。
アラカン軍の報道官はAPに対し、「20日正午に西部地域軍司令部全体を完全に奪取、制圧し、責任者の准将らを拘束した」と語った。
それによると、アラカン軍は2週間前にこの司令部を包囲し、降伏するよう促していたという。
MNDAAは今月初め、軍政との停戦を一方的に宣言し、同州の平和を回復するため、中国政府に仲介を求めた。中国政府は軍政が反体制派の攻撃に耐え切れず崩壊する恐れがあるとして、和平協議を仲介している。