◎大気質悪化の原因は車やバイクの排気ガス、焼き畑、野焼き、石炭式暖房など。
インド・ニューデリー当局は14日、市内の大気質が急速に悪化しているとして、すべての小学校に対し、追って通知があるまで対面授業を中止するよう命じた。
また当局は市内の建設工事現場に作業中止を命じ、市民に不要不急の外出を控え、石炭を燃やして暖を取らないよう呼びかけた。
デリー首都圏の首相室はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「汚染レベルが上昇しているため、デリーのすべての小学校はさらなる指示があるまで、オンライン授業に移行します」と書き込んだ。
その他の対策として道路への散水、スモッグを鎮めるための機械による空気清浄などが15日朝から実施される予定だ。
スイスに拠点を置く企業「IQAir」のデータによると、ニューデリーの大気質指数はこの数日、300~500で推移し、危険とされる300を上回っている。
ニューデリーから約220kmほど離れた歴史的建造物タージマハルもスモッグで見えなくなっている。
地元メディアによると、ニューデリーの空港ではスモッグの影響で遅延が大量発生。14日午後の時点で出発便の88%、到着便の54%が視界不良により遅延している。
大気質悪化の原因は車やバイクの排気ガス、焼き畑、野焼き、石炭式暖房など。大気汚染は冬に深刻化することが多く、気象条件などの影響により大気がよどみやすい。
13日には微小粒子状物質(PM2.5)のレベルが世界保健機関(WHO)が推奨する最大値の50倍以上を記録した。
市内の病院には呼吸器系の不調を訴える患者が殺到。地元メディアによると、その多くが子供と高齢者だという。
ニューデリーの北西約400キロに位置するパキスタン東部ラホールも大気質が劇的に悪化し、200万人もの市民が医療機関や診療所を受診し、喉や目の不調を訴えている。
国連環境計画(UNEP)は大気汚染により、毎年800万人が呼吸器系の疾患で亡くなっていると推定。PM2.5を世界の公衆衛生を脅かす最大級の脅威のひとつと評している。
冬の間、冷たい空気はPM2.5を閉じ込め、スモッグをより濃く、長持ちさせる。