◎ハイチ国家警察はコメントを出していないが、ギャングの犯行とみられる。
米フロリダ州から中米ハイチに向かっていたスピリット航空の旅客機が首都ポルトープランスの空港に着陸しようとした際、地上から銃撃を受けた。現地メディアが11日に報じた。
それによると、旅客機はポルトープランスの国際空港に着陸を試みた際、少なくとも4回、地上から銃撃を受けたという。
スピリット航空は声明で、「この便はドミニカ共和国のサンティアゴに迂回し、無事着陸した」と述べた。
それによると、乗客にケガはなく、客室乗務員1人が軽傷を負い、空港内で医療評価を受けているという。
航空機の位置を追跡するフライトレーダー24によると、この便は地上170メートル付近まで高度を下げた後、大きく迂回している。
スピリット航空は声明の中で、「着陸後に機体をチェックした結果、銃撃を受けた証拠を確認した」と明らかにした。
また同社はこの機体の運航を停止し、「乗客をポルトープランスに移送する準備を進めている」とした。
米連邦航空局(FAA)は声明で、「スピリット航空便はポルトープランス空港に着陸しようとした際、銃撃により機体が損傷したと報告し、その後、ドミニカの空港に無事着陸した」と述べ、調査官を現地に派遣するとした。
ハイチ国家警察はコメントを出していないが、ギャングの犯行とみられる。
ポルトープランスの航空当局はこの事態を受け、同空港の運用を少なくとも14日まで停止すると発表した。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは2年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は先月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。