◎サハラ砂漠以南の紛争地から逃れた数万人が毎年、モーリタニア、モロッコ、アルジェリア、セルビアからスペインを目指し出港する。
アフリカ北西部・スペイン領カナリア諸島(Getty Images)

アフリカ北西部・スペイン領カナリア諸島沖で移民を乗せたボートが救助活動中に転覆した事故について、地元当局は29日、行方不明になっている48人全員が死亡したと推定されると発表した。

事故は28日早朝に発生。現場はカナリア諸島のエル・イエロ島沖約6.5キロの地点。巡視艇などによる救助活動中、多くの移民がボートの片側に寄ってしまい、ひっくり返った。

救助隊は27人を引き上げ、このうち9人の死亡を確認した。

カナリア自治州のクラビホ(Fernando Clavijo)首相は28日夜の記者会見で、「救助隊が捜索活動を継続しているが、海に転落した48人は全員、死亡した可能性が高い」と述べていた。

救助隊は30日まで捜索活動を続けると予定としている。

当局によると、ボートに乗っていたのはアフリカ西部のマリ、モーリタニア、セネガルの移民。約800キロ離れたモーリタニアから出港したという。

サハラ砂漠以南の紛争地から逃れた数万人が毎年、モーリタニア、モロッコ、アルジェリア、セルビアからスペインを目指し出港する。

その大半がカナリア諸島を目指す一方、スペイン本土に渡ろうとする者も少なくない。このルートは世界でも最も危険な航路のひとつであり、毎年数千人が死亡または行方不明になっている。

今年、カナリア諸島に海路で到着した移民は2万6000人超。昨年通年の到着者は過去最多の5万5618人であった。

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