◎与党・労働党の支持母体であるTUC(イギリス労働組合会議)の意見を無視すれば、求心力低下は避けられない。
イギリスの労働組合の中央組織であるTUC(イギリス労働組合会議)は25日、与党・労働党のスターマー(Keir Starmer)首相が提案した光熱費支援の削減を却下した。
スターマー氏は前保守党政権による国債の大量発行やその他散財により、数百万人を対象とする冬の光熱費支援を現在の体制で継続することは難しいと表明していた。
TUCはリバプールの年次総会でスターマー氏の提案を否決。これに拘束力はないが、労働党の支持母体であるTUCの意見を無視すれば、求心力低下は避けられない。
7月の政権交代以来、スターマー氏は前保守党政権から引き継いだ悲惨な財政に警鐘を鳴らし、貧困層の年金受給者を除いて200~300ポンドの冬季光熱費支援を打ち切る可能性があると警告してきた。
TUC執行部は打ち切りを「とんでもない蛮行」と呼び、総会でこれを撤回するよう求める決議案を採択した。
歓声と怒号が飛び交う中、決議案は僅差で可決された。
TUCの書記長は演説で、「労働党新政権は年金生活者の燃料費支援を削減し、超富裕層をそのままにしておくことができるのか、私には理解できない。これは有権者が願ったものではない。間違った決定であり、撤回する必要がある」と呼びかけた。
政府は光熱費支援の削減分を公的年金の引き上げや貧困関連の対策費で相殺すると約束している。
スターマー氏は今週、「政府はこの削減を望んでいないが、この2ヶ月間、政府は貧困層を救済するために、前保守党政権が14年間で行った以上のことを成し遂げた」と主張した。