◎ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
イスラエル軍の猛攻を受けるパレスチナ・ガザ地区で約64万人の子供を対象とするポリオ(急性灰白髄炎)ワクチン接種キャンペーンが始まった。ガザ当局が8月31日、明らかにした。
イスラエルは今週、国連世界保健機関(WHO)の要請に基づき、ワクチン配布と接種で合意した。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、妊婦はさらに高いと推定されている。
現地メディアによると、戦闘の一時停止が始まる前日にも少数の子供が接種を受けたという。
WHOの医療テントで接種を視察した保健当局の担当官は記者団に対し、「このキャンペーンが対象とする全ての子供にワクチンを接種するためには完全な停戦が必要だ」と訴えた。
激戦地のひとつであるハンユニスのナセル医療複合施設でも接種が行われている。
娘が予防接種を受けた母親はAP通信に、「恐怖を感じながらワクチンが届くのを待っていた」と語った。
イスラエル政府は31日付けの声明で、「この接種プログラムは9月9日まで、1日8時間行われる」と述べた。
ガザ地区では約64万人の子供たちにワクチンを届けることを目的に、この期間中に限り、戦闘を休止する予定である。
ガザ当局によると、イスラエル軍による接種時間外の空爆や砲撃で26人が死亡、205人が負傷したという。過去24時間の死者は89人となった。
ヨルダン川西岸地区でもイスラエル軍による大規模な軍事作戦が続いており、多くの死者が出ている。
ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は4万人超。負傷者は10万人近くに達している。