◎ガザ地区では先月、およそ四半世紀ぶりに6カ所の下水からポリオ(急性灰白髄炎)が検出された。
イスラエル軍は25日、パレスチナ・ガザ地区に100万回分以上のポリオワクチンが届けられたと発表した。
これがどのように配布されるかは不明だ。
ガザ地区では先月、およそ四半世紀ぶりに6カ所の下水からポリオ(急性灰白髄炎)が検出された。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、妊婦はさらに高いと推定されている。
国連世界保健機関(WHO)とユニセフはガザ地区内で生活する10歳未満の子供60万人以上にワクチンを接種する計画を立て、双方に戦闘停止を求めている。WHOは最低でも7日間の停戦が必要としている。
国連は160万回分のポリオワクチンをガザに持ち込むことを目標としている。
各地の避難所の衛生状況は劣悪で、清潔な水はもちろん、ゴミを処理する施設もない。多くの住民が飲料水や食器の洗浄に廃水を使っている。
ポリオは感染力が強く、排泄物や汚染された水、食物に接触することで感染する。
イスラエル軍は声明で、「ポリオワクチン保管用の特別な冷蔵装置を積んだトラック5台が24日、国連と連携してガザ市内に運び込まれた」と明らかにした。
それによると、予防接種はイスラエル軍と連携する国際医療チームや地元の医療チームによって、ガザの様々な場所で行われる予定だという。
昨年10月に紛争が始まって以来、ガザには28万回分以上のポリオワクチンが持ち込まれた。
しかし、ガザの医療システムは紛争で崩壊し、医療従事者は負傷者の手当てに圧倒されている状態だ。保健当局によると、ガザにある36の病院のうち、機能しているのは3割にとどまっている。
WHOとユニセフは約2700人の協力を得て、ガザのすべてのエリアで予防接種を行うとしている。
それによると、この紛争が始まる前、人口の99%がポリオ接種を受けていたものの、この数字は現在86%まで低下しているという。
ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は4万人超。負傷者は10万人近くに達している。