◎バイデン陣営はこの事件を受け、テレビ広告を打ち切り、SNSを含む全ての発信ツールの運用も停止した。
ペンシルベニア州フィラデルフィア、バイデン大統領(Evan Vucci/AP通信)

バイデン(Joe Biden)大統領の陣営が14日、全てのテレビ選挙広告を打ち切り、方針転換を余儀なくされた。

これはトランプ(Donald Trump)前大統領銃撃に対応する措置のひとつであり、11月の大統領選に影響を与える可能性がある。

トランプ氏は13日、ペンシルベニア州の選挙集会で右耳を撃たれ負傷。陣営によると、トランプ氏はその日のうちに病院を退院した。

シークレットサービスは集会会場の外の高い位置から狙撃した容疑者を射殺。連邦捜査局(FBI)は翌日、狙撃犯をペンシルベニア州出身の共和党員、トーマス・マシュー・クルックス(Thomas Matthew Crooks、20歳)と特定した。

バイデン陣営はこの事件を受け、テレビ広告を打ち切り、SNSを含む全ての発信ツールの運用も停止した。

ABCニュースは関係筋の話として、「銃撃事件から数分後、バイデン陣営は全スタッフに対し、ソーシャルメディアや公の場でのコメントを控えるよう要請した」と伝えている。

一部の共和党員はバイデン氏が選挙集会で「トランプを倒す」と発言したり、陣営がテレビ広告でトランプ氏を非難していることに言及。「バイデンが銃撃を扇動した」と主張する議員まで現れた。

トランプ陣営も公の場で「バイデン氏を倒す、打ち負かす」と何度も発言している。

バイデン陣営はこの停止措置でより厳しい状況に置かれる可能性がある。

共和党全国大会は15日に開幕。トランプ氏と副大統領候補が発表される予定だ。

バイデン陣営は広告やSNS発信を打ち切ったため、この大会期間中、トランプ陣営に対抗するメッセージを発信できなくなった。

バイデン陣営は最近、より力強いバイデン氏を見せるため、トランプ陣営への「反撃」を強化。トランプ陣営はプロジェクト2025と名付けられた広告でバイデン陣営を「口撃」していた。

バイデン氏は12日、ミシガン州の選挙集会で、「プロジェクト2025はこの国の歴史上、一度も確認されたことのない、政府と個人の自由に対する最大の攻撃である」と警告。「これはトランプが目指す2期目の青写真だ」と非難した。

現地メディアによると、バイデン氏は14日早朝にホワイトハウスに戻り、状況説明を受けた。

バイデン氏は15日に予定していたテキサス州オースティンへの訪問を取りやめている。

ハリス(Kamala Harris)副大統領のチームも対応を余儀なくされた。

報道によると、ハリス氏は妊娠中絶の権利について話し合うため、15日にフロリダ州を訪問する予定だったが、これを延期したという。

バイデン氏は14日の声明で、「米国は団結し、分断を煽るような発言や情報に対抗する必要がある」と呼びかけた。

またバイデン氏は「このような暴力を決して許さず、シークレット・サービスに対し、明日から始まる共和党全国大会のセキュリティー対策を見直すよう命じた」と明らかにした。

現地メディアによると、バイデン氏は警察を含む関係当局に対し、選挙集会の警備方針や体制を見直すよう命じたという。

またバイデン氏は独立した専門家チームが国家安全保障戦略の見直しを協議する予定だと明らかにした。

連邦議会の共和党議員の一部はバイデン氏が銃撃を扇動したという主張に懸念を示している。マコネル(Mitch McConnell)上院院内総務は「当局が捜査を進めており、不確実な情報や憶測を発信すべきではない」と批判した。

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