◎エチオピアとソマリランドの首脳は今月1日、ソマリランド領内におけるエチオピアの海岸利用を許可する覚書に署名した。
エジプトのシシ(Abdel Fattah el-Sissi)大統領は21日、エチオピアとソマリランドが締結した海岸リース協定を非難し、ソマリア政府の立場を支持すると表明した。
シシ大統領は首都カイロでソマリアのモハムド(Hassan Sheikh Mohamud)大統領と会談。エチオピア政府に対し、「他国の領土を支配してはならず、ソマリアの主権を尊重しなければならない」と呼びかけた。
またシシ大統領は「ソマリアを脅したり、領土を侵害することは許されない」と強調した。
エチオピアとソマリランドの首脳は今月1日、ソマリランド領内におけるエチオピアの海岸利用を許可する覚書に署名。これにより、世界で最も人口の多い内陸国であるエチオピアはソマリランドの海岸線に海軍基地と港を建設できるようになった。
ソマリランド(旧イギリス領)は1991年にソマリア(旧イタリア領)から独立。国連は同国の独立を承認していないが、台湾は2020年に外交関係を結び、米国を含む10カ国が首都ハルゲイサに駐在員事務所、ケニアとエチオピアは外交使節団の公館を設置している。
ソマリランドの指導者アブディ(Muse Bihi Abdi)氏はエチオピアに20キロの海岸線をリースすることを承認。「それはソマリランドのものであり、他国にとやかく言われる筋合いはない」と述べた。
ソマリアのモハムド氏はこの覚書を国際法違反と非難。「断固拒否し、必要な措置を取る」と強調した。
ソマリランド政府によると、この覚書にはエチオピアが近い将来ソマリランドを独立国として認めるという条項が含まれているという。
ソマリアに拠点を置くアルカイダ系イスラム過激派組織アルシャバーブも協定を非難し、国民に対し、エチオピアとソマリランドから領土を守るよう促した。
またアルシャバーブはエチオピアとソマリランドへの攻撃を強化すると警告した。