◎コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
2022年11月25日/コンゴ民主共和国、北キブ州ゴマに続く道路、国連PKOの車両(Jerome Delay/AP通信)

コンゴ民主共和国のチセケディ(Felix Tshisekedi)大統領は20日、米ニューヨークの国連本部で演説し、同国に駐留する国連PKOの即時撤退を要請した。

チセケディ氏は演説の中で、「国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)は同国東部の紛争を抑制できておらず、年内に撤退を開始してほしい」と呼びかけた。

MONUSCOは1999年から主に東部地域で活動している。国連によると、東部地域の30年にわたる紛争により、市民600万人以上が避難を余儀なくされたという。

同国東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。

チセケディ氏は「MONUSCOの要員約1万7000人は東部地域で何の戦果もあげられず、混乱と分断を加速させている」と主張した。

またチセケディ氏は「同国の安全保障関連任務を国連から自国の軍隊に引き継ぐ時が来た」と述べた。

コンゴ軍の兵士推定10万人は過激派の攻撃に圧倒されているようにみえる。

チセケディ氏は12月の総選挙で2期目を目指すと表明している。最新の世論調査によると、チセケディ氏の支持率は低下傾向にあり、その主な要因はMONUSCOにあるという。

コンゴ東部では同国最大の反政府勢力「3月23日運動(M23)」が2021年11月に活動を再開して以来、戦闘が激化している。

M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。

しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、2013年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。2021年11月頃から活動を活発化させ、東部・北キブ州の複数の集落を占領した。

コンゴ政府、米国、国連の専門家はルワンダ政府がM23を支援していると指摘しているが、ルワンダはこの主張を否定している。

1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。

M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているとみられ、北キブ州の州都ゴマ近郊まで支配地域を拡大したとされる。

戦闘の激化に不満を募らせる多くの市民が「誰も反乱軍の攻撃から守ってくれない」と言っている。今年初めにはMONUSCOの駐留に反対する大規模な抗議デモがゴマで開かれ、少なくとも43人が死亡、50人以上が重傷を負った。

北キブ州でこのような抗議デモは珍しくない。今年初めに予定されていたフランシスコ教皇(Pope Francis)の東部訪問は治安悪化の影響で中止された。

国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は先月、コンゴ東部の治安について、「この1年で急激に悪化し、深刻な人道危機を引き起こしている」と警告。PKO撤退の可能性を検討する必要があると述べた。

MONUSCOの撤退は東部で活動する親政府派の民兵にさらなる負担をかける可能性がある。南部アフリカ開発共同体は今年初め、北キブ州への部隊派遣を決めた。

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