◎昨年ダリエン地峡を通過した移民は約25万人。2021年は13万3000人と推定されている。
2022年10月15日/コロンビアとパナマの国境「ダリエン地峡」を進む移民(Fernando Vergara/AP通信)

国連は13日、コロンビアとパナマの間にある危険な密林地帯「ダリエン地峡(Darien Gap)」を渡る移民の数が今年は40万人にまで急増する可能性があると警告した。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、昨年ダリエン地峡を超えた移民は25万人と推定されている。

人々は主に中南米出身で、米国への移住を目指し、徒歩で道なき道を進む。

国際移住機関(IOM)は今週公表したレポートの中で、「今年に入ってからすでに10万人近くがダリエン地峡に入った可能性がある」と指摘。昨年同期の6倍に急増したという。

この傾向が続けば、中米からメキシコを経由して米国を目指す移民はさらに増えることになりそうだ。

この地域で活動する人権団体やNGOはダリエン地峡の一部地域で渋滞が発生していると報告。それを「アメリカ大陸を通過する前例のない人の波」と呼んでいる。

AP通信によると、バイデン政権はダリエン地峡で活動する人身売買組織を取り締まるために、コロンビアおよびパナマ当局との連携を強化することで一致したという。

ダリエン地峡では麻薬密売組織やギャングも暗躍している。専門家によると、そこを通過する際は泥棒、人身売買、レイプなどに警戒する必要があるという。

この地域は米国境までの長いルートの中で最も危険なエリアのひとつである。NGOはこの地域で性的暴行、強盗、殺人が多発していると非難している。

さらに、毒蛇に噛まれて亡くなったり、急流に流され行方不明になる人もいるようだ。

APは米政府高官の話として、「米軍はコロンビアおよびパナマ当局と連携して、この地域で活動する違法業者の取り締まりに協力する予定」と報じた。

米国、パナマ、コロンビアは今週、ダリアン地峡の人身売買を阻止する60日間の取り締まりを開始すると発表した。

この取り締まりはまだ始まっておらず、5月11日に失効するコロナ緊急事態に先立ち、米国境の警備を強化する役目を担うとみられる。

ただし、ダリエン地峡の入り口は数十キロの範囲におよび、そこをすべて取り締まることは難しいようだ。人身売買組織は広大なエリアを自由自在に行き来し、その周辺に複数の拠点を置いているとみられる。

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