◎アルゼンチンは大豆加工品の世界最大の輸出国であり、トウモロコシの生産量は世界第3位だ。
アルゼンチンのロサリオ穀物取引所(BCR)は9日、同国で未曽有の干ばつが続き、穀物生産に深刻な影響が出ていると警告した。
地元メディアも専門家の話を引用し、「過去60年で最悪の干ばつが進行中」と報じ、穀物の生産減が国際通貨基金(IMF)と合意した取り組みに影響を与える可能性があると指摘している。
アルゼンチンは大豆加工品の世界最大の輸出国であり、トウモロコシの生産量は世界第3位だ。政府は今年の収穫量を何度も下方修正している。
BCRは9日、今年の大豆生産量の見通しを2700万トンと発表した。BCRによると、これは統計を取り始めて以来最も少ない量だという。
BCRの報道官はロイター通信の取材に対し、「我々は前例のない気候変動に直面している」と語った。
また報道官は数カ月前から続く前例のない干ばつによる損失額を140億ドルと見積もり、小麦の年間生産量は約5000万トン減少する可能性があると警告した。
報道官によると、トウモロコシ、大豆、小麦の作付けを同じ年に失敗したのは初めてだという。
農家は雨を待っているが、予報官によると、耕作地の熱波はしばらく続くとみられる。
フェルナンデス政権は10月に総選挙を控えている。最新の世論調査によると、穀物生産の記録的な不調は左派政権にウンザリしている右派勢力を後押しする可能性があるという。
アルゼンチンは歴史的なインフレと通貨安に直面している。デフォルトを回避するためにはIMFの融資が欠かせない。
昨年の消費者物価指数(CPI)は2021年比で95%上昇。アルゼンチン・ペソは「1ドル=200Aペソ」まで暴落している。20年前は「1ドル=3Aペソ」前後で取引されていた。
穀物はアルゼンチンの主要輸出品であり、不作は枯渇した外貨準備高を回復させる政府の計画を狂わせる可能性がある。
政府はIMFとの交渉で、今年の外貨準備の積み増し目標を緩和する方向で話を進めている。アナリストは今年のGDP成長率の見通しを引き下げた。
BCRの報道官は「非常に重要な時期に干ばつが重なった」と嘆いた。「非常に厳しいと言わざるを得ません。穀物の不作は経済状況や外貨収入に深刻な影響を与えるでしょう,,,」
アルゼンチンの一部地域の農家は昨年5月から少なくとも8回、熱波と乾燥に見舞われている。
BCRは公式ウェブサイトに掲載した声明で、「雨が降らなければ大豆とトウモロコシの収穫量をさらに下方修正する可能性がある」と警告している。
それによると、大豆の収穫量予想は現時点で1999~2000年シーズン以来、トウモロコシは1996~1997年シーズン以来の低さとなる見込み。
コルドバ州中部の大豆農家は公共放送カナル7のインタビューで、「今年は平年の半分も生産できないかもしれない」と語った。「作物はこの10日間の熱波と乾燥で枯れ果ててしまいました...」