◎首都テヘランでクルド人女性のアミニさんが殴り殺された事件に抗議するデモはイランから世界に広がり、指導部に圧力をかけ続けている。
国営イラン通信(IRNA)は20日、著名な女優2人が抗議デモへの支持を表明したとして逮捕されたと報じた。
IRNAによると、当局は道徳警察と指導部への抗議に連帯を表明した女優のガジアニ(Hengameh Ghaziani)さんとリアヒ(Katayoun Riahi)さんを「デモを促した罪」で逮捕したという。
2人は以前、ヒジャブを着用せずに公の場に姿を見せ、デモ隊と道徳警察に殺害されたアミニ(Mahsa Amini)さんへの連帯を表明していた。
首都テヘランでクルド人女性のアミニさんが殴り殺された事件に抗議するデモはイランから世界に広がり、指導部に圧力をかけ続けている。
アミニさんは9月13日、テヘランを訪問中にヒジャブ(スカーフ)を適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。
イラン当局は事件を「不幸な事故」と呼んだが、アミニさんの家族、欧米諸国、そして多くのイラン人が指導部を糾弾し、各地で激しいデモを繰り広げている。
ガジアニさんとリアヒさんは様々な映画賞を受賞した女優として知られている。IRNAによると、2人は20日に拘束されたという。
ガジアニさんは20日、「何が起ころうと、私はいつもイランの人々と共にある」「これが最後の投稿になるかもしれない」とツイートした。
デモに連帯を表明した著名人はこの2人だけではない。
カタールワールドカップでイラン代表キャプテンを務めるハジサフィ(Ehsan Hajsafi)選手は20日の記者会見で、「国の状況は正しくない」と語った。
イランボクシング連盟の会長はデモ隊への攻撃を理由に、大会が行われたスペインから帰国しないと表明した。
女優のアリドゥスティ(Taraneh Alidoosti)さんも今月初め、デモへの連帯を示し、道徳警察に抗議するコメントをインスタに投稿した。
ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)などによると、治安部隊の攻撃でこれまでに民間人約400人が殺害され、数万人が負傷し、1万6800人以上が拘束された。
指導部はこの「暴動」に米国とイスラエルが関与していると主張し、厳しく取り締まると誓っている。
報道によると、デモに関与したとされる少なくとも5人に死刑判決が言い渡された。