◎アリドゥスティさんはイランで最も成功した女優の一人で、インスタグラムのフォロワーは約800万人。
2016年の映画「セールスマン（原題：فروشنده）」に出演したイランの女優タラネ・アリドゥスティ（Taraneh Alidoosti）さんが9日、同国で続く反政府デモに連帯を示し、道徳警察に抗議した。
アリドゥスティさんはヒジャブを着用していない写真を自身のインスタグラムに投稿。クルド語で「女性・生命・自由」と書かれた紙を掲げ、女性の権利保護を呼びかけた。
このスローガンはイランから世界に広がった抗議デモで使用されている。
イランの首都テヘランでクルド人女性のアミニ（Mahsa Amini）さんが殴り殺された事件に抗議するデモは7週目に突入した。
アミニさんは9月13日、テヘランを訪問中にヒジャブ（スカーフ）を適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。
イラン指導部は暴行を「不幸な事故」と呼び、最高指導者のハメネイ（Ali Khamenei）師は米国とイスラエルがデモに関与していると主張。ライシ（Ebrahim Raisi）大統領は米国を「大悪魔」と呼んだ。
アリドゥスティさんはイランで最も成功した女優の一人で、インスタグラムのフォロワーは約800万人。
アリドゥスティさんが主演した映画セールスマンはアカデミー賞の国際長編映画賞を受賞している。
イラン指導部は女性に公の場でのヒジャブ着用を義務付けており、インスタの写真であっても髪をさらせば罪に問われる可能性がある。
アリドゥスティさんは以前、何が何でもイラン国内に留まると誓い、治安部隊の弾圧で死亡したデモ隊への支援を表明。現在は活動を休止している。
ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ（IHR）などによると、治安部隊の攻撃でこれまでに民間人少なくとも328人が殺害され、数万人が負傷し、約1万4800人が拘束されたという。
イランの著名人が弾圧に抗議したのはこれが初めてではない。
独ブンデスリーガのレバークーゼンに所属するアズムン（Sardar Azmoun）選手は先月、政府の弾圧を非難し、デモ隊への支持を表明した。
アズムン選手はインスタの投稿で治安部隊を非難し、こう書き込んだ。「簡単に自国民を殺すなんて恥を知れ！イランの女性たちよ、万歳！」
