◎首都テヘランでクルド人女性のアミニさんがヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴り殺された事件は全国規模のデモを引き起こし、一部地域では暴動に発展している。
イランのライシ(Ebrahim Raisi)大統領は15日、全国各地で繰り広げられている抗議デモにバイデン(Joe Biden)米大統領が連帯を示したことについて、米国を「大悪魔」と呼び、非難した。
首都テヘランでクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんがヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴り殺された事件は全国規模のデモを引き起こし、一部地域では暴動に発展している。デモは5週目に突入した。
アミニさんは先月13日、テヘランを訪問中にヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。
ライシ氏は米国が混乱と暴動を扇動していると非難し、初代最高指導者の故ホメイニ(Ruhollah Khomeini)師の言葉を引用した。「米国は混乱とテロと破壊を扇動する大悪魔です。私は最高指導者の言葉を思い起こしています」
またライシ氏は「敵の陰謀」に対抗すると主張し、デモ隊をさらに厳しく取り締まると示唆した。
米国に拠点を置く人権監視団体HRANAによると、9月17日のデモ開始以来、少なくとも233人のデモ参加者が治安部隊に殺害され、そのうち32人が18歳未満だったという。ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)は201人が殺害されたと報告している。
治安部隊の隊員も死亡しているとみられ、デモ参加者数百人が逮捕された。
バイデン氏は14日の選挙集会で、「米国はイランの市民、勇敢な女性たちと共に立つ」と述べた。
またバイデン氏は「イランが目覚めたことに驚いている」と述べ、デモを支持した。「長い間抑えられてきた何かが目覚めたようです...」
イラン外務省の報道官は16日、インスタグラムに投稿した声明で、「イランの意志は揺るがず、主権と独立を守る」と主張した。
米国務省は先週、抗議デモの弾圧に関与した政府関係者に新たな制裁を科した。財務省も先月、道徳警察に制裁を科している。
ライシ氏は、「米国は制裁が機能していないことを嘆き、イランを不安定化させる作戦に打って出た」と主張し、米国がデモを煽ったと非難した。
現最高指導者のハメネイ(Ali Khamenei)師も米国とイスラエルが暴動に関与していると主張し、治安部隊に取り締まりを強化するよう命じている。