◎スエズ運河は昨年、全長400m、幅59m、総重量約20万トンのエバーギブン号座礁事件に見舞われ、世界の注目を集めた。
エジプトのスエズ運河庁は31日、石油タンカーが運河内で一時的に座礁したと発表した。
同庁のラビ(Osama Rabie)長官は国営テレビの取材に対し、「運河は一時的に片側通行になったが、タグボート5隻の連携でタンカーを再浮上させることに成功した」と語った。
国営テレビによると、タンカーは現地時間午後7時15分頃に座礁し、約5時間後に救助されたという。
ラビ氏は事故原因について、「タンカーの操舵に技術的な問題が発生し、運河の土手に衝突した」と説明したが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
同庁によると、今タンカーは2016年に建造され、全長は252。ポルトガルを出港し、サウジアラビアを目指してた。
スエズ運河は昨年、全長400m、幅59m、総重量約20万トンのエバーギブン号座礁事件に見舞われ、世界の注目を集めた。
エバーギブン号は一車線ルートで土手に突っ込み座礁。6日間運河を封鎖し、世界の海運とサプライチェーンに大打撃を与えた。
昨年9月には別の大型船舶が座礁したものの、数時間で再浮上し、事なきを得た。
スエズ運河庁はこの失敗を受け、エバーギブン号が座礁した南部水路の拡張工事を開始している。
英海運専門紙ロイズリストによると、スエズ運河西ルートを通過する貨物の価値は1日あたり約40億ドル、東ルートは約36億ドルにのぼる。
またスエズ運河はエジプト政府の重要な収入源であり、当局によると、昨年は2万649隻が運河を通過し、2020年の1万8830隻と比較して10%増加した。運河の2021年の年間収入は63億ドルに達し、史上最高を更新した。
スエズ運河庁とエバーギブン号を所有する正栄汽船(愛媛県今治市)は昨年7月、補償額をめぐる交渉と法廷闘争の末、和解した。