◎メキシコの4つの州ではすでに闘牛が禁止されており、世論調査でも禁止を求める声が高まっている。
メキシコの地元メディアは10日、首都メキシコシティに出されている闘牛禁止令が解除される可能性は低く、夏のイベント開催は難しくなったと報じた。
メキシコシティの裁判所は先月、「闘牛は暴力のない環境を目指す市民の権利を侵害する」という原告団の訴えを支持し、市内で闘牛を行うことを禁じた。
市内でプロ闘牛イベントを主催する「ラ・プラザ・メキシコ(La Plaza Mexico)」は10日、裁判所の判決に改めて抗議するようファンに呼びかけた。
同社は裁判所の判決を不服とし、控訴するとしている。
同社は声明の中で、今年予定されていたプロイベントを延期すると述べ、「メキシコの習慣と伝統を法的に保護する取り組みを続ける」と表明した。
しかし、高等裁判所は5月の判決に対する控訴をすでに1件却下している。地元メディアによると、この禁止令を恒久的なものにするには、さらに複数の審理が必要だという。
ラ・プラザ・メキシコは7月と9月にプロイベントを開催する予定だった。
禁止令が完全に支持されれば、500年近く続いてきたメキシコシティの闘牛が終わりを告げることになるかもしれない。
歴史家によると、スペイン人探検家エルナン・コルテス(Hernan Cortes)はアステカ帝国を征服した直後の1520年代、現在のメキシコシティで最初に行われたとされる闘牛を観戦したという。
メキシコの4つの州ではすでに闘牛が禁止されており、世論調査でも禁止を求める声が高まっているようである。
メキシコシティ議会の動物福祉委員会は昨年、動物が虐待され、死に至るような行事を禁止する法案を提出した。しかし、一部の議員が闘牛禁止に強く反発し、採決前に廃案となった。
動物愛護団体によると、市内の闘牛産業は約3000人の雇用を生み、数万人の生活を支えているという。しかし、闘牛を支持する団体や専門家は、実際の雇用数はその10倍と見積もっている。