◎世界の大国は極超音速兵器の開発に没頭している。
2021年10月28日/ユタ州プロモントリーで行われた極超音速ミサイルの試験(Northrop Grumman/Handout/ロイター通信)

空軍は16日、音速の5倍で飛行する極超音速ミサイルの実験に成功したと発表した。

テストは14日に南カリフォルニアの沿岸で行われ、B-52爆撃機が空中発射型極超音速ミサイル「Air-launched Rapid Response Weapon(ARRW)」を発射し、極超音速に達したと報告した。

声明によると、ARRWはB-52から発射後、音速の5倍で飛行したという。

米国は3月中旬にも極超音速ミサイルの実験に成功したと発表している。昨年創設された米英豪の安全保障枠組み「オーカス(AUKUS)」は極超音速兵器の開発でも協力するとしている。

世界の大国は極超音速兵器の開発に没頭している。その速度と機動性により、追跡や迎撃は困難と考えられている。

ロシアは2月24日の侵攻以来、極超音速ミサイルでウクライナの標的を破壊したと報告しており、今月初めにも南部オデーサに「キンジャル」を撃ち込んだと主張した。

プーチン大統領は核弾頭を搭載できるとされる極超音速ミサイル「アバンガルド」と「キンジャル」、新型戦略兵器のひとつであるレーザー兵器「ペレスヴェート」はNATOの脅威に対処するために「開発せざるを得なかった」と主張している。

アバンガルドは音速の27倍(約3万3000km/h)で飛行し、敵国のミサイル迎撃システムをかわして標的を破壊できると考えられている。これは既存のソ連製大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載され、2019年12月に実践配備された。

ミグ爆撃機に搭載する空中発射型極超音速ミサイル キンジャルの航行距離は2000km、速度は音速の10倍とされる。2019年に実践配備されたと伝えられているレーバー兵器ペレスヴェートの情報はほとんど明らかにされていない。

米国防総省によると、ウクライナ侵攻でロシアが使用したされるキンジャルは、「戦況に違いをもたらさなかった」という。そして、極超音速兵器を使用したとしても、紛争の本質は変わらないとしている。

制服組トップのマーク・ミリー(Mark Milley)統合参謀本部議長は以前、議員らに対し、「ロシア軍は極超音速ミサイルを数発使用したが、戦況に影響を与える効果は確認できていない」と指摘していた。

米軍は昨年10月に中国が極超音速ミサイルの発射実験を行ったと発表したが、中国はこれを否定している。

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