◎フーシ派は今月、国連の仲介を受け2カ月間の停戦に合意した。
イエメンのシーア派反政府武装勢力フーシは16日、世界貿易に欠かせない紅海の監視を強化する米軍主導の新たなタスクフォースを批判した。
フーシ派の報道官はソーシャルメディアに、「米軍主導の新たな監視チームは、国連の停戦交渉を仲介する米国の主張と明らかに矛盾している」と投稿した。
また報道官は米国とサウジ主導の連合軍を念頭に置き、「無用な監視チームはイエメン本土と港の封鎖の常態化につながるだろう」と警告した。
サウジ主導の連合軍は今月初めに新評議会に権力を移譲したハディ政権を復権させるために、2014年からイエメンの大部分を支配するフーシ派と戦っている。
イエメン内戦は近代史上最悪の人道危機と飢餓地獄を引き起こし、国連のまとめによると、戦闘で死亡した兵士および民間人は15万人を超え、1,000万~2,000万人が国内避難民になり、1,100万人以上の子供が食糧支援を必要としている。
フーシ派のメディアオフィスの責任者も米国主導の新たなタスクフォースを批判し、停戦休戦に影響を与える可能性があると示唆した。
フーシ派は今月、国連の仲介を受け2カ月間の停戦に合意した。
米海軍の中東第5艦隊を監督するクーパー副将によると、紅海を監視するチームは2~8隻の船で近海をパトロールし、4月17日に最初の任務にあたる予定だという。対象は石炭、麻薬、武器、難民や亡命希望者を密輸する個人や組織。
AP通信によると、クーパー副将は13日の会見でフーシ派には直接言及せず、「反乱軍は爆発物を積んだドローンや機雷を紅海に配置している」と説明した。
紅海は、北はエジプトのスエズ運河、南はアフリカとアラビア半島を隔てるバブ・エル・マンデブ海峡を結んでいる。
紅海を経由する石炭の密輸は、ソマリアに拠点を置くアルカイダ系イスラム武装勢力アル・シャバブの活動資金になってきた。
フーシ派に兵器を提供しているイランもこの海域を利用している可能性が高い。
サウジとイエメンの一時的な停戦は今のところ維持されているように見える。両者が停戦に応じたのは約6年ぶり。
停戦により首都サヌアを含むフーシ派の管理下に置かれている地域の住民は連合軍の空爆から解放された。フーシ派は中部の都市マリブの奪取を目指し、1年以上攻撃を続けている。