◎ナイジェリアとニジェールの国境沿いに広がる広大な密林地帯には多くの武装集団の拠点がある。
2022年4月22日/ナイジェリア、北部プラトー州カナム地区の集落(Getty Images/AFP通信)

ナイジェリア政府は12日、北部プラトー州の集落で武装集団が100人以上を殺害したと明らかにした。

当局によると、武装集団はプラトー州カナム地区の4つの集落を襲撃したという。

ナイジェリア北部ではフラニ族(イスラム教)とハウサ族やその他の民族(キリスト教)間の対立が激化し、各地で同様の襲撃事件が相次いでいる。対立の主な原因は価値観の違い、土地、水源。

地元メディアの取材に応じた生存者は、「武装集団は10日午後に集落を襲い、民家を物色し、住民を殺害した」と説明した。

別の住民はAP通信の取材に対し、「警察官から少なくとも130人の遺体を回収したと聞いた」と述べた。ナイジェリアの主要メディアも100人以上が死亡、数百人が負傷したと報じているが、全容は明らかになっていない。

警察とプラトー州政府は事件に関する情報を公表していない。

ソーシャルメディアでは破壊された家屋、マットや袋に包まれた遺体が集団墓地に置かれている様子を記録した映像などが複数共有されている。

地元メディアは生存者と目撃者の証言を引用し、「牧畜業者が犯行に関与した可能性が高い」と報じている。犯行声明は出ていない。

生存者の男性はAP通信に、「テロリストはAK-47(旧ソ連の自動小銃)やナタなどで武装し、数十台のオートバイで集落に乗り込んだ」と説明した。

カナム地区の議会は12日の声明で、「襲撃から2日たった今でも地域は緊張状態にある」と述べ、犠牲者と遺族に哀悼の意を表した。

プラトー州の州知事は12日、治安部隊に被害を受けた村の平和と秩序を回復し、事件に関与した武装集団や個人をひとり残らず捕らえると約束した。

また州知事は、「政府の安全保障会議は国内の安全対策を強化する措置を導入した」と説明したが、措置の詳細は明らかにしなかった。

ムハンマド・ブハリ大統領は国の治安を改善するという公約を掲げて2015年に初当選し、2019年に再選を果たしたが、北東部地域に拠点を置くイスラム過激派組織ボコ・ハラムなどの対応に苦慮している。

ボコ・ハラムによるテロは10年近く続いており、北西部地域でも複数の武装集団やテロ組織が暗躍し、この10年で少なくとも数千人が死亡、数千人が誘拐された。

今年1月には北部ザムファラ州でボコ・ハラムと思われる武装集団が集落を襲撃し、200人以上が殺害された。

専門家によると、ボコ・ハラムを含む武装集団は数十から百人単位で行動することが多く、地方の小さな警察署では到底攻撃に対応できないという。

ナイジェリアとニジェールの国境沿いに広がる広大な密林地帯には多くの武装集団の拠点があると伝えられている。

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