◎サヘル地域でこのような虐殺は日常茶飯事であり、逮捕者が出ることも処罰が下ることもない。
ブルキナファソとマリの国境付近の難民キャンプ、ブルキナ軍の兵士(Getty Images/AFP通信)

西アフリカ・ブルキナファソの軍事政権は28日、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)が今週公表した報告書を「偽物」と呼び、根拠のない告発であると主張した。

HRWが25日に公表した報告書によると、ブルキナ軍政は今年2月末、イスラム過激派に協力したとされる集落で56人の子供を含む住民223人を処刑したという。

HRWはこの報告書について、目撃者や人権団体などへの電話取材に基づいていると説明している。

軍政の報道官は27日夜遅くの声明で、「政府はこのような根拠のない告発を拒絶し、強く非難する」と述べた。

また報道官はHRWがイスラム過激派の支配地域で虐殺が報告されたと指摘していることについて、「陸軍が調査に当たっているにもかかわらず、HRWは想像で犯人を決めつけ、勝手に判決を下したようだ」と述べた。

HRWはこの虐殺を「2015年以降、ブルキナ軍が関与した最大級の犯罪のひとつ」と評している。

西アフリカのブルキナ、マリ、ニジェール軍政は旧宗主国であるフランスとの関係を断ち、サヘル地域で存在感を増すロシアに接近。マリ軍政はロシアの民間軍事会社ワグネルと契約を結び、過激派だけでなく、民間人も虐殺している。

ブルキナを含むサヘル地域では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系組織が猛威を振るい、この数年で200万人以上が国外に逃亡。数万人が死亡したと推定されるが、被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も全く立っていない。

サヘル地域でこのような虐殺は日常茶飯事であり、逮捕者が出ることも処罰が下ることもない。

ブルキナの過激派は国土のおよそ40%を支配下に置いている。

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