◎議会は現在休会中であり、野党が不信任投票を実施し、この3年で5回目の議会選挙に踏み切るかどうかは不明である。
イスラエルの少数政党は6日、過越（すぎこし）の祭りにおける宗教的問題をめぐる論争を受け、連立政権から離脱すると発表した。
ヤミナ党のシルマン党首は、政府が過越期間中も公立病院へのパンの持ち込みを許可したことに異議を唱えていた。ユダヤ教徒は過越の期間中、パンや他の澱粉を含む食品を控える。しかし、病院はあらゆる宗教の患者を受け入れている。
地元メディアによると、超国家主義者であるシルマン党首は多様な連立政権の中にいることが不安で、以前から離脱を考えていた可能性が高いという。
シルマン党首はベネット首相に宛てた書簡の中で、「私の価値観は政府の価値観および現実を受け入れない」と述べ、「連立政権の中でそうした価値観が損なわれることにもはや耐えられない」と付け加えた。
シルマン党首はベネット首相に、「真実を認めてほしい。私たちは努力したのです。新しい道を考えるときが来たのです。私たちは民族主義的、ユダヤ的、シオニスト的な政府を作ろうしたのです」と別れを告げた。
ヤミナ党の離脱により、新政権発足から1年も経たぬうちに議会選挙が行われる可能性が高まった。
＜連立政権＞
・イェシュ・アティッド党：17議席
・青と白：8議席
・労働党：7議席
・イスラエル・ベイテヌ：7議席
・新しい希望：6議席
・メレツ党：6議席
・ラーム党：4議席（アラブ派閥）
計55議席
＜野党＞
・リクード党：30議席
・シャス党：9議席
・トーラー・ユダヤ連合：7議席
・ヤミナ党：7議席（離脱）
・宗教シオニズム：6議席
・合同リスト：6議席
計65議席
ガンツ国防相は6日、ベネット首相と協議したとツイートした。「我々は政権を維持するために努力します...」
ベネット首相率いる連立政権は昨年6月、イデオロギーや政策の違いを乗り越え、ネタニヤフ前首相を打倒するという目標を達成するためにタッグを組んだ。
連立政権発足後、ユダヤ教徒と少数のイスラム教徒はイデオロギーを超越し、予算を通過させ、コロナウイルスの大流行を乗り切り、米バイデン政権や反イランの近隣アラブ同盟国との関係を強化することに成功した
ベネット首相はパレスチナとの和平交渉を否定しているが、占領下のヨルダン川西岸とガザ地区の生活環境を改善し、イスラエル人11人を殺害した一連のパレスチナ人襲撃事件後の緊張を抑えるための措置を取ろうとしている。
しかし、超国家主義を推進する強硬派のヤミナ党の一部議員は6月の政権発足以来、アラブ派閥とリベラル派閥との連立に違和感を抱いていた。
イスラエルのメディアは、ベネット首相は6日の閣議で連立を組む他の政党に結束を促したと報じている。
議会は現在休会中であり、野党が不信任投票を実施し、この3年で5回目の議会選挙に踏み切るかどうかは不明である。
ベネット政権を打倒するためには61票、あるいは別の連立政権樹立に賛成する票を同数確保する必要がある。
昨年6月まで12年間イスラエルを率いてきたネタニヤフ前首相は野党指導者としてチームベネットの党首を勧誘し、過半数割れを画策してきた。
ネタニヤフ前首相は6日、他の政党にもシルマン党首に続くよう呼びかけた。「まだベネット政権の椅子に座っている友人たちに私は言いたい。帰ってきなさい。そして、共にイスラエルを成功、達成、安全、平和の軌道に戻すのです」
過越の論争はここ数日新聞の見出しを飾っていた。イスラエルのメディアによると、ヤミナ党の離脱は予想されていたという。
日刊紙ハアレツは、「サール法務大臣は先週、ベネット首相にシルマン党首が離脱するのではないかと危惧していると伝えた」と報じている。
ハアレツによると、シルマン党首の夫が強硬派の超国家主義者であるスモトリッチ議員（宗教シオニズム党）と協力して離脱を後押ししたという。
6日に公表されたベネット首相宛ての書簡にはスモトリッチ議員の名前も記されていた。
イスラエルはネタニヤフ前首相の汚職裁判をめぐる政治危機の中、2年間で4回選挙を行った。選挙の行き詰まりは昨年6月にようやく決着し、ベネット首相とその仲間たちは、過去に類を見ない連立政権をこしらえることに成功したのである。
シンクタンク、イスラエル民主主義研究所のプレスナー会長は6日、ソーシャルメディアに、「シルマンの離脱で政府は崩壊し、イスラエルは政治危機モードに戻った」と投稿した。
