◎ポーランドは何年も前から、ロシアが欧州のパワーバランスをロシアに有利になるように崩す機会をうかがっていると警告してきた。
ポーランド政府はロシア軍の攻撃がウクライナを飛び越えてくる可能性に懸念を表明し、戦況を注意深く見守っている。
国連によると、ポーランドが受け入れたウクライナ難民は14日時点で170万人を超えたという。
ポーランドはウクライナ西部国境付近の軍事基地が空爆され、難民の数が際限なく膨れ上がっていることに不安を感じている。
ポーランド政府は移民の受け入れに否定的な立場を示してきたが、欧州が第二次世界大戦以来の危機に直面すると方針を一転させ、国境を開放した。
ポーランドに逃げ込んだ一部の難民はドイツやその他の国に移動したが、大半は文化的、言語的、家族的な結びつきの強いポーランドを選択し、その結果、首都ワルシャワの人口はこの2週間で15%増加した。ワルシャワの人口は約180万人。
専門家は安全保障の面でも警鐘を鳴らしている。ロシア軍は週末、ポーランドの国境からわずか16kmのヤヴォリフにあるウクライナ軍基地を空爆した。
ポーランドは何年も前から、ロシアが欧州のパワーバランスをロシアに有利になるように崩す機会をうかがっていると警告してきた。2014年のクリミア併合、ルガンスク・ドネツク人民共和国の独立もそのひとつと見なしているが、ロシアはポーランドの主張を否定している。
ポーランドのモラヴィエツキ首相は14日、「ウクライナの兵士は西側の支援を必要とし、それに値する」と述べた。「彼らはウクライナのためだけでなく、東欧の近隣諸国の自由のためにも戦っています」
またモラヴィエツキ首相は、今回の侵攻はプーチン大統領の計画の一部であると指摘した。
終戦後に社会主義体制に移行したポーランドも今ではNATO加盟国であり、西側の防衛の要と呼ぶ専門家もいる。ポーランド人民共和国はソ連の衛星国だったが、多くのポーランド人が当時も反露感情を抱いていた。
西側諸国がウクライナ軍に提供している物資の大半はポーランドを経由している。ロシア外務省は12日の声明で、外国の支援は「合法的な軍事目標になる」と宣言し、NATOをけん制した。
一部の専門家はポーランド国境への攻撃もあり得ると指摘しているが、大半のポーランド人はないと信じている。ただし、偽旗作戦には注意が必要かもしれない。
ロシアがNATO加盟国であるポーランドの領内に攻撃をしかければ5条(集団防衛)が発動し、米国を含む同盟国は防衛に乗り出す。
NATOは米国とロシアの二大核保有国の対決だけは避けたいと考えている。ロシアも核戦争は望んでいないと思われる。
ワルシャワの市長であるトゥジャスコフスキ氏は地元メディアの取材に対し、「ポーランドはパニックを起こしていないが、国民は疑問を抱いている」と語った。「ロシアはポーランド国境近くを空爆し、生物兵器の使用を計画しているという噂も流れました。疑問を抱かない方がおかしいでしょう...」
トゥジャスコフスキ市長は、プーチン大統領の目標のひとつは西側を分断させ、弱体化させることだと指摘した。「プーチンはフェイクニュース、偽旗作戦、難民危機を喜んで利用します。もし難民の数が増え続ければ、ポーランドの経済は崩壊します...」
ウクライナと国境を接する国はEUを統括する欧州委員会に追加予算などの支援を速やかに提供するよう呼びかけている。
トゥジャスコフスキ市長は、「EUや国連は国際社会に実用的な支援、財政的な支援、難民の受け入れなど、様々な支援を呼びかける必要がある」と警告した。
欧州委員会はポーランドと同じように難民を受け入れているモルドバなどへの支援も約束しているが、追加予算を提供する時期や予算額には言及していない。
またトゥジャスコフスキ市長はイギリス政府に「お役所仕事」をやめて、ウクライナ難民をもっと簡単に受け入れるよう訴えている。
ポーランド人は今回の戦争で40年以上にわたる人民共和国時代と、第二次世界大戦の悲惨な記憶を思い出し、ウクライナに協力する道を選んだ。