◎パンの平均小売価格は35スーダンポンドから50スーダンポンド(約13円)に値上がりし、交通費も50%近く上昇した。
2022年3月14日/スーダン、首都ハルツームで行われた抗議デモ(Marwan-Ali/AP通信)

3月14日、スーダンの首都ハルツームなどでインフレと軍民合同政府に抗議するデモが行われ、数万人が参加した。

AFP通信によると、治安部隊は一部のデモ隊に実弾と催涙ガス弾を撃ち込んだという。負傷者が出たかどうかは分かっていない。

国軍は昨年10月末にアブダッラー・ハムドゥーク首相(当時)と政府高官を拘束し、軍民合同政府「ソブリン評議会」を解散させ、紆余曲折の末、新たな協定に基づく軍民合同政府を発足させた。

しかし、協定の内容は一切明らかにされておらず、民主主義を求める団体や野党勢力は軍の権力が強化された可能性に懸念を表明し、各地で抗議デモを続けている。

世界最貧国のひとつであるスーダンは軍事政権の発足で国際援助を失い、ロシアのウクライナ侵攻による穀物と原油の価格の高騰でさらなる困難に直面している。

地元メディアによると、パンの平均小売価格は35スーダンポンドから50スーダンポンド(約13円)に値上がりし、交通費も50%近く上昇したという。

南東部の青ナイル州ダマジンでも数千人がデモに参加し、多くの若者がインフレに対処するよう呼びかけた。

南西部のダルフール地方ニャラのデモ隊は治安部隊の催涙ガスを浴びた。デモに参加した男子高校生はAFP通信の取材に対し、「こんなひどい状況では勉強も何もできない」と述べ、軍事政権の解体と民主的な選挙を訴えた。

2019年の無血クーデターを主導したスーダン医師会によると、昨年10月のクーデター以降、治安部隊はデモに参加した市民87人を殺害し、2,600人以上に重軽傷を負わせたという。

北部のナイル川州アトバラで行われたデモにも数千人が参加した。地元メディアによると、州内の鉄道労働者は13日に無期限ストライキを開始したという。

デモに参加した鉄道労働者のひとりはAFP通信に、「2カ月給料を受け取っていない」と述べ、政府を非難した。

デモ隊は進行中のインフレや弾圧だけでなく、スーダンの政治と経済が1956年の独立以来、何度も軍の支配下に置かれていることに激しく反発している。

スーダンの国民は物価の上昇や補助金の廃止に敏感で、独裁者のオマル・アル=バシールを追放した2019年の無血クーデターもパンの価格を3倍に引き上げるという政策が引き金になった。

スーダンは2020年に米国の厳しい制裁から脱したばかりである。国連によると、人道支援を必要としている人は人口の3分の1に上るという。

軍事政権は先週、進行中の経済危機を落ち着かせるため、為替相場ではなく中央銀行の判断でスーダンポンドの価値を決めると発表した。スーダンポンドの公式レートは14日時点で1ドル447ポンド強だが、闇市場の輸入品は600ポンド前後で取引されていると伝えられている。

2021年10月25日/スーダン、首都ハルツームの抗議デモ(Getty Images/AFP通信/EPA通信)
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