◎西側諸国はプーチン大統領を非難し厳しい経済制裁を科したが、東側の一部勢力は侵攻を擁護しており、ミャンマーもその列に加わった。
ミャンマーの軍事政権は27日、あらためてロシアのウクライナ侵攻とウラジーミル・プーチン大統領への支持を表明し、「侵攻の責任はウクライナとゼレンスキー大統領にある」と主張した。
ミャンマー軍は昨年2月の軍事クーデターでアウンサンスーチー氏と政府高官を拘束し、政権を奪取した。
軍事政権の報道官は2日前に放送されたボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューの中で、ロシア軍の侵攻を擁護した。
報道官は、「ロシアは自国の主権を強固にするために努力しただけ」と述べた。「ロシアは主権を強固にすると同時に、ロシアが世界の大国であることを世界に示そうとしています」
西側諸国はプーチン大統領を非難し厳しい経済制裁を科したが、東側の一部勢力は侵攻を擁護しており、ミャンマーもその列に加わった。
国営新聞ミャンマ・アリンも論評の中で、「米国とNATOはロシアとウクライナを対立させ、東側の弱体化を企てている」と非難している。同紙は、ゼレンスキー大統領を西側の操り人形と呼び、プーチン大統領を「先見の明があり、自国の軍事力や経済力を静かに強化した指導者」と高く評価した。
また、「ゼレンスキー大統領は無能で合理性に欠け、ロシアとの対立で自国の破壊と犠牲を招いた」と主張した。「つまり、ウクライナの市民は間違った指導者を選んだということです。今起こっている問題の責任はウクライナ自身にあります」
ミャンマーナウなどの独立系メディアによると、国営メディアはウクライナを外国勢力の手先、アウンサンスーチー氏とも悪だくみを企てたなどと報道しているという。
国営新聞は、「人権や民主主義について偉そうに語っている政治家や個人は、人権や民主主義よりも自国民の安全、国力、国益が重要であることをそろそろ理解すべきだろう」と書いている。
ミャンマー軍は西側の武器禁輸制裁を受けているため、ロシアは兵器の補給に欠かせない取引先のひとつになっている。
国連のミャンマー問題を担当するトム・アンドリュース特別報告者は最近のツイートで、「ロシアとミャンマーの権威主義政権は良好な関係を構築している」と指摘した。
アンドリュース氏はツイートの中で、「世界は言葉と行動でウクライナの人々、ミャンマーの人々とともに立ち上がらなければならない」と述べ、軍事政権を批判した。
ロシアのショイグ国防相は昨年2月の軍事クーデターの1週間前にミャンマーを訪問し、ロシアの地対空ミサイルシステム、偵察機、レーダー施設の販売契約にサインしていた。
3月末にはロシアの副国防相が首都ネピド-で行われた「国軍記念日」の式典に出席している。
ミン・アウン・フライン司令官は6月20日にロシアを訪問し、ショイグ国防相やその他の軍関係者と会談した。会談の詳細は明らかにされておらず、両国の国営メディアも訪問を報じていない。
ミャンマー軍副司令官のウィン将軍や空軍大将もロシアを訪問している。
一方、昨年のクーデター後に結成されたミャンマーの国民統一政府は25日の声明で、ロシアの侵略を「いわれのない戦争行為」と厳しく非難した。「ロシアの侵略は国連憲章と国際法に明確に違反しており、ミャンマー政府はウクライナの領土保全、独立、主権を尊重します...」
ミャンマー軍と戦っている少数民族も独立系メディアを通じてウクライナと連帯するメッセージを発信している。
南部タニンダーリ地方域で民主化勢力を率いているレイモンド氏はミャンマーナウに宛てた声明の中で、「私たちはウクライナの主権を守る戦争に刺激を受けている」と語った。「ウクライナに襲い掛かるファシズム勢力を打ち負かす必要があります。もしプーチンが勝利すれば、ミャンマーの軍事クーデターや、世界中の民主主義の敵に、より多くの支援を与えることになるでしょう」