米国のプエルトリコ電力関連予算、復活求める声強まる、3.5億ドル
問題となっている予算は、米領プエルトリコ全土の約1万2000世帯に屋上型の太陽光パネルと蓄電池を設置するために充てられる予定であった。
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米国とプエルトリコ政府に対し、同地域の電力確保を目的とする連邦予算約3億5000万ドルの復活を求める声が強まっている。約200の団体や非営利組織が15日、連名で要請書を提出し、低所得世帯向けの太陽光発電計画を再開するよう求めた。
問題となっている予算は、米領プエルトリコ全土の約1万2000世帯に屋上型の太陽光パネルと蓄電池を設置するために充てられる予定であった。この計画は特に、医療機器に依存する高齢者や障がい者など、安定した電力を必要とする脆弱な層を対象としていた。
しかし米エネルギー省はこの資金の配分方針を変更し、老朽化した送電網の修復など、より広範な電力インフラ整備に振り向ける決定を下した。プエルトリコの電力網は2017年のハリケーン・マリアで壊滅的な被害を受け、その後も停電が相次ぎ、連邦政府はインフラ再建を優先せざるを得ないと説明している。
一方で支援団体側は、この判断が最も弱い立場にある市民を見捨てるものだと強く反発している。太陽光発電システムは停電時でも電力を確保できるため、人工呼吸器や透析装置、冷蔵保存が必要な薬品に依存する人々にとって「生死に関わる問題」だと指摘されている。
実際、計画はすでに一部で進行しており、6000世帯以上に太陽光設備が設置済みである。しかし残る約1万2000世帯は支援の見通しが立たないまま宙に浮いた状態となっている。対象となる家庭の多くは山間部などの遠隔地に位置し、災害時には避難や支援物資の確保が困難な地域に住んでいる。
住民からは不安と不満の声が上がっている。例えば医療機器を必要とする高齢者世帯では、停電のたびに命の危険にさらされるほか、冷蔵庫が使えず食料を廃棄せざるを得ないなど、経済的な負担も大きい。電気料金自体も高額で、限られた収入の大半が光熱費に消えるケースも報告されている。
プエルトリコでは近年、民間による太陽光発電の導入が急速に進み、2025年には年間数万件規模で設置が行われた。しかし島全体では貧困率が40%を超え、多くの家庭にとって自費での導入は現実的ではない。このため、公的資金による支援の重要性が指摘されてきた。
今回の資金問題はエネルギー政策の方向性を巡る対立も浮き彫りにしている。分散型の再生可能エネルギーを重視するか、従来型の集中型インフラの再建を優先するかで意見が分かれ、どちらがより持続的で公平な電力供給につながるかが問われている。
要請書を提出した団体は期限とされる5月上旬までに明確な回答が得られなければ、抗議行動も検討するとしている。慢性的な停電と災害リスクを抱えるプエルトリコにとって、電力確保は生活基盤そのものであり、今回の資金の行方は住民の安全と直結する重大な問題となっている。
