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メキシコ大統領、チワワ州政府への制裁検討、無許可で米CIAと協力か

問題の発端はチワワ州で行われた違法薬物の製造拠点摘発に関連する作戦である。
2025年11月28日/メキシコ、首都メキシコシティ、シェインバウム大統領(AP通信)

メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は22日、北部チワワ州で発生した麻薬関連作戦後の交通事故を巡り、チワワ州政府に対する制裁措置の検討に入ったと明らかにした。米中央情報局(CIA)の要員が関与していたとされる活動が、連邦政府の承認を得ずに実施された可能性が浮上し、国家主権や安全保障の観点から波紋が広がっている。

問題の発端はチワワ州で行われた違法薬物の製造拠点摘発に関連する作戦である。この作戦後、関係者を乗せた車両が山岳道路から転落し、爆発炎上する事故が発生。米国の要員2人とメキシコ側の捜査官2人の計4人が死亡した。米側の要員は当初、在メキシコ・米国大使館職員とされていたが、その後、CIAとみられる情報機関に所属していたことが明らかになった。

シェインバウム氏はこの作戦に外国機関が関与していた事実について、「連邦政府は事前に把握していなかった」と強調し、メキシコ国内で外国機関が活動する場合には連邦当局の承認が不可欠だと指摘した。今回のケースはその手続きに違反している可能性があり、国家安全保障法違反の疑いも含めて調査を進めるとしている。

特に問題視されているのは、チワワ州当局が連邦政府の関与なしに米側要員の参加を認めた可能性である。メキシコでは治安対策における外国との協力は一般的に行われているものの、その多くは情報共有や訓練支援に限定され、現地での作戦参加は厳しく制限されている。治安当局も「米国要員が地上作戦に関与することは通常ない」と説明しており、今回の事案は異例と受け止められている。

シェインバウム氏は駐米大使に対し、関与の詳細説明を求める書簡を送付したほか、チワワ州知事とも協議する意向を示した。州政府に対する制裁について具体的な内容は明らかにしていないものの、連邦政府の権限を逸脱した行為が確認された場合、何らかの措置が取られる可能性がある。

一方で、米国とメキシコの間では麻薬対策を巡る協力関係が長年続き、情報共有や監視活動、訓練支援など多岐にわたる。近年は合成麻薬フェンタニルの拡大を背景に、米側の関与が強まっているとの指摘もあるが、主権侵害への懸念からメキシコ国内では慎重論が根強い。

今回の問題は単なる交通事故にとどまらず、両国の安全保障協力のあり方を改めて問い直す契機となっている。シェインバウム政権は対米協力を維持しつつも、主権の確保を強調する姿勢を鮮明にしており、今後の調査結果や外交交渉の行方が注目される。

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