エルサルバドル、重罪を犯した未成年者に終身刑適用へ
同国では2022年以降、非常事態宣言のもとで大規模なギャング掃討作戦が進められ、これまでに9万人以上が逮捕・収監されている。
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中米エルサルバドルで重大犯罪を犯した未成年に終身刑を科すことを可能にする新たな刑法が導入されることになり、国内外で大きな議論を呼んでいる。議会で可決された法案はブケレ政権の強硬な治安対策の一環として進められたもので、4月26日に施行される予定だ。
この制度により、殺人や強姦、テロ行為などの重大犯罪については、12歳以上の未成年にも終身刑が適用される可能性がある。これまで未成年者には特別な保護規定が設けられていたが、今回の改革はそれを大きく見直す内容となっている。ただし、一定期間ごとに刑の見直しを行い、条件付き釈放の可能性を残す仕組みも盛り込まれている。
厳しいギャング取り締まりで圧倒的な支持を集めるブケレ(Nayib Bukele)大統領は、従来の制度では若年犯罪者に対する処罰が不十分で、結果として犯罪の抑止力が弱かったと主張する。特にギャング組織が未成年を利用するケースが多く、政府は厳罰化によって治安改善をさらに進める狙いがあると説明している。
同国では2022年以降、非常事態宣言のもとで大規模なギャング掃討作戦が進められ、これまでに9万人以上が逮捕・収監されている。一方で、人権団体は拘束下での死亡事例が多数報告されていると指摘し、強権的な治安政策への懸念も強まっている。
今回の法改正に対しては国際社会からも批判が相次いでいる。国連人権機関は未成年への終身刑は児童の権利を侵害する恐れがあるとし、見直しを求めている。児童の更生や社会復帰を重視すべきだとする国際基準との整合性が問われている形だ。
議会は先月、殺人や強姦などに対して終身刑を認める憲法改正案を圧倒的賛成多数で可決しており、今回の措置はその流れを受けたものである。議会はブケレ氏の与党・新思想党(NI)が圧倒的多数を占め、治安強化策が迅速に法制化されている。
同国はかつて世界でも有数の殺人発生率を記録するなど深刻な治安問題を抱えてきたが、近年はブケレ氏の取り締まりによって殺人率が激減。中米で最も安全な国になったと指摘する専門家もいる。一方で、その代償として法の支配や人権の後退が懸念されている。
未成年への終身刑導入は犯罪抑止と人権保護のバランスをめぐる議論を一層先鋭化させている。強硬な治安政策を支持する世論もある一方で、将来を担う子どもへの刑罰として適切かどうかは依然として議論が分かれており、今後の運用と国際的な反応が注目される。
地元メディアによると、ブケレ氏の支持率は80~90%で推移している。
