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ペルー大統領選、開票作業進まず、ケイコ・フジモリ氏がリード


今回の選挙は12日に投票が行われたが、投票用紙の配送遅延など運営上の問題が発生し、一部地域では翌日まで投票が延長された。
2026年4月12日/ペルー、首都リマ、右派のケイコ・フジモリ氏(AP通信)

南米ペルーで4月12日に行われた大統領選挙は開票作業の遅れと混乱の中で進み、汚職や権威主義の影を背負う元大統領の系譜に連なる候補者たちが上位を占める異例の展開となった。暫定集計の結果、右派のケイコ・フジモリ(Keiko Fujimori)氏と民族主義者のロベルト・サンチェス・パロミノ(Roberto Helbert Sánchez Palomino)氏が決選投票進出に向けてリードしている。

今回の選挙は12日に投票が行われたが、投票用紙の配送遅延など運営上の問題が発生し、一部地域では翌日まで投票が延長された。首都リマの有権者や米国在住のペルー人など数万人が12日に投票できない状況に置かれたため、延長措置が取られる異例の事態となった。

開票作業はゆっくり進み、投票終了から3日経っても最終結果が確定しない状況となっている。これは2021年の大統領選でも見られた傾向であり、選挙管理体制の脆弱さが改めて浮き彫りとなった形だ。

開票率約90%時点で、ケイコ氏が得票率約17%でトップ、サンチェス氏が約12%でこれに続いた。3位には首都リマの前市長で強硬右派のアリアガ(Rafael López Aliaga)氏が僅差で迫り、2位争いは最後まで接戦となっている。いずれの候補も過半数には届かず、6月に予定される決選投票で勝者が決まる見通しだ。

上位候補の顔ぶれはペルー政治の構造的問題を象徴している。ケイコ氏はかつて強権的な統治で知られ、後に収監された故アルベルト・フジモリ(Alberto Fujimori)元大統領の娘であり、これまで3度大統領選に敗れてきた。今回が4度目の挑戦となる。

一方のサンチェス氏は収監中のカスティジョ(Pedro Castillo)元大統領に近い政治家とされ、既存政治への不満を背景に支持を広げている。両者ともに過去の政権と深い関係を持ち、汚職や権力乱用の歴史と無縁ではない点が共通している。

ペルーは近年、深刻な政治不安に直面している。過去10年間で大統領が何度も弾劾・逮捕され、今回の選挙で誕生する新大統領は「10年で9人目」となる見込みである。現職の暫定大統領も前任者が汚職疑惑で失脚した後に就任したばかりで、政権の基盤は極めて脆弱だ。

こうした混乱は有権者の政治不信を一層強めている。犯罪の増加や汚職の蔓延に対する不満が広がる一方、候補者の多くが既存政治勢力と結びついているため、有権者は「選択肢がない」という閉塞感を抱えている。

選挙戦では治安対策が主要争点となり、ケイコ氏は犯罪への強硬姿勢を打ち出している。ただし、彼女の政党が支持してきた法制度の変更については、捜査を困難にするとの批判もあり、政策の実効性には疑問も呈されている。

一方、サンチェス氏は新憲法制定や社会的包摂の拡大を訴え、既存の政治・経済体制の見直しを主張しているが、その急進的な政策は市場の不安を招いている。実際、選挙結果を受けて通貨や株価が急落するなど、経済への影響も顕在化している。

今回の選挙は運営上の混乱と政治不信、そして過去の権力構造の影響が複雑に絡み合う中で進行している。決選投票に進む候補はいずれも賛否の分かれる人物であり、ペルーが長年抱える統治の不安定さを解消できるかは依然として不透明だ。6月の決選投票は同国の政治的行方を左右する重要な分岐点となる。

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