◎大型タグボートの艦隊は満潮と岸周辺の掘削作業チームのサポートに助けられ、エバーギブン号の船首を東岸から引き離すことに成功した。
2021年3月29日/エジプトのスエズ運河、開通を祝う当局関係者(スエズ運河庁/AP通信)

3月29日、スエズ運河救出チームは1週間近くスエズ運河のど真ん中に居座ったエバーギブン号をついに解き放ち、最も重要な水路のひとつで発生した大渋滞を解消させた。

大型タグボートの艦隊は満潮と岸周辺の掘削作業チームのサポートに助けられ、エバーギブン号の船首を東岸から引き離すことに成功した。

救出チームは世界のメディアを熱狂の渦に巻き込んだ巨大貨物船の通せんぼに打ち勝った瞬間、歓喜の声を上げた。

オランダのサルベージ会社、ボスカリスのピーター・ベルドウスキーCEOは声明で、「私たちはやりました!」と喜びを語った。「私たちの専門家チームはスエズ運河庁と緊密に協力して、エバーギブン号の再浮上に成功しました。チームの活躍を誇りに思います...チームは世界で最も重要な水路の運航再開に貢献しました」

スエズ運河庁のオサマ・ラベイ長官は記者団に対し、「現地時間の午後6時に運河の航行を再開しました」と述べた。「最初に水路に入った貨物船は家畜を運んでいました。再開を待っていた420隻以上の船舶のうち、少なくとも113隻が30日の朝までに運河を通過できると予想しています」

地元メディアによると、紅海からスエズ運河に向かう貨物船を複数確認できたという。

アナリストたちは、「両ルートの混乱の解消には少なくとも10日はかかる」と予想している。

正栄汽船とリース契約を結んでいる台湾のエバーグリーンマリン社は声明で、「エバーギブン号は南のグレートビター湖で検査を受ける」と述べた。

エバーギブン号は3月23日にスエズ運河の1車線ルート(南入口から約6km地点)で座礁し、大渋滞を引き起こした。海運の専門、ロイズリストのデータによると、スエズ運河西ルートを通過する商品の価値は1日あたり約5,600億円、東ルートは約5,000億円にのぼり、エジプト政府は1日あたり最大15億円の収入を失った可能性があるという。

ラベイ長官は先日の記者会見で、エバーギブン号がスタックした理由を調査していると述べ、「人的ミス」の可能性を示唆した。「スエズ運河庁は被害者です。私たちは事故原因を特定します」

2021年3月29日/エジプトのスエズ運河、エバーギブン号を牽引するタグボート内から撮影(スエズ運河庁/AP通信)

サルベージ会社のボスカリスは13台の大型タグボート艦隊を監督していた。

当局者によると、満潮と牽引の効果を高めるために、30,000トン以上の砂と泥を岸周辺から取り除いたという。

スエズ運河庁は先日の記者会見で、エバーギブン号に積み込まれた約18,000個のコンテナの一部を撤去する可能性があると述べ、専用の大型クレーンを現地に派遣していた。

しかし、エバーギブン号は満潮と掘削チームの努力で再浮上し、大型タグボート艦隊の牽引により東岸のスタックから無事解放された。(船尾は28日に西岸から引き離されていた)

ロイター通信によると、北入口で立ち往生していた貨物船は順次紅海に向かって進んでいるという。また、運河サービスプロバイダーのレス・エージェンシーズは、紅海側も活発に動いていると述べた。

一部の貨物船はアフリカ南端の喜望峰ルートを選択しており、専門家は世界のサプライチェーンの混乱解消には数週間から数カ月かかる可能性があると指摘した。

海運グループのマースクラインの海運・貨物部門のグローバル責任者を務めるマーカス・ベイカー氏はロイター通信の取材に対し、「今回の封鎖は世界の海運に大きな影響を及ぼしており、事故の原因や混乱の解消方法などはしばらくの間議論され続けるでしょう」と述べた。「同じような事故を二度と起こさないことが重要です。スエズ運河庁は問題点を全て洗い出し、規則や対策を見直す必要があります」

2021年3月29日/エジプト、スエズ運河の衛星写真(Planet Labs Inc./AP通信)
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