◎ソマリランドはソマリア情勢の悪化や南部地方を優遇する政府に失望したことなどを理由に1991年5月に分離独立した。
3月14日、ソマリランドのアブディ大統領がワシントンD.C.のヘリテージ財団本部で講演し、国際社会にソマリランドの独立と主権を承認するよう呼びかけた。
同国は1991年5月、ソマリア情勢の悪化や南部地方を優遇する政府に失望したことなどを理由に分離独立した。
アブディ大統領はソマリア政府との交渉が失敗に終わったことを認めたうえで、国際的な承認を得るための努力を続けると約束した。
国連加盟国はソマリランドの独立を承認していないが、台湾は2020年に外交関係を結び、米国を含む10カ国が首都ハルゲイサに駐在員事務所、ケニアとエチオピアは外交使節団の公館を設置している。
ソマリランドは独立以来、定期的に選挙を行うことに成功しており、昨年の議会選挙も民主的に実施され、ソマリア政府がイスラム過激派組織に対処できていないことが改めて浮き彫りになった。
アブディ大統領は2017年の大統領選挙で選出された。
ソマリアはソマリランドを自国の領土の一部とみなしている。2012年以降、統一の可能性をさぐる交渉が数回行われたが、突破口を見出すことはできなかった。
アブディ大統領は講演の冒頭、進行中のウクライナ侵攻を「大量虐殺」と呼び、ロシアを厳しく非難した。「ソマリランドは欧州で繰り広げられている難民危機、砲撃、破壊、死、多くの苦しみを見て、33年前の大量虐殺を思い起こしています...」
アブディ大統領は分離独立前の戦争で多くの国民が虐殺され、100万人以上が難民になったこととウクライナ侵攻を照らし合わせ、「国際社会は悲劇を止めるための措置を速やかに講じなければならない」と述べたうえで、国際社会の報道と現地の情報を速報で伝えるSNSに感謝した。「当時のソマリランドには24時間情報を伝えてくれるニュースもSNSもなく、国民に対する大量虐殺は隠蔽されました。しかし、私たちが経験した苦い記憶は私たちの心の中に永遠に記憶され、決して忘れることはないでしょう」