◎政府とティグレ人民解放戦線(TPLF)の戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民になった。
2021年12月6日/エチオピア、北部ティグライ州郊外(Solan Kolli/AFP通信/Getty Images)

エチオピア北部ティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)は18日、政府との和平交渉を主導する専門チームを立ち上げたと発表した。

政府は約1ヶ月前に7人の交渉官を任命し、TPLFとの和平交渉を本格化させている。

政府は先週、交渉委員会の初会合を開催し、TPLFの姿勢を批判した。

地元メディアによると、交渉の日時、場所、枠組みはまだ何も決まっていないという。

アハメド(Abiy Ahmed)首相はアフリカ連合(AU)仲介の協議を望んでいるが、TPLFはケニア大統領の調停を望んでいるとみられる。

TPLFはAUの調停者に任命されたナイジェリアのオバサンジョ(Olusegun Obasanjo)元大統領とアハメド氏が緊密な関係にあると指摘している。

TPLFの報道官は18日、ティグライ州西部の係争地について、「交渉の余地はない」とSNSに投稿した。

この地域はティグライ州の西に位置するアムハラ州のTPLF同盟勢力が支配している。連邦政府はこの地域を解放するよう求めている。

国軍とTPLFの戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡したとされる。

国軍は2020年11月末にティグライ州と周辺地域の大半をTPLFから奪取したが、TPLFは北部地域に拠点を置く他の反政府勢力と同盟を結んでティグライ国防軍(TDF)を結成。昨年6月の奇襲攻撃でティグライ州の支配権を取り戻した。

内戦が本格化した昨年末、TPLFの主力部隊はティグライ州に撤退し、その後政府も大規模攻撃を控えた。そして3月末、TPLFは政府が提案した「無期限の人道的停戦」に合意し、内戦はひとまず終結した。

ティグライ州を含む北部地域の住民数百万人は内戦による荒廃と数十年に一度といわれる干ばつに直面し、食料と水の確保に苦労している。

また、この地域のインフラと必要不可欠なサービス(医療、電気、通信、ガス、銀行など)はほぼ機能しておらず、人道危機に拍車をかけている。

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