◎チャドは2003年に石油生産を開始。エクソンは数十年前から同国で事業を展開し、複数のプロジェクトを運営していた。
2022年10月20日/チャド、首都ンジャメナ、軍事政権に抗議するデモ(AP通信)

チャド政府は24日、同国内で事業を展開する米石油大手エクソンモービルの全資産を国有化すると発表した。

国営テレビによると、政府は数日中に政令を公布する予定。それ以降、エクソンがチャド国内で保有する設備や事業はすべて政府所有となる。

チャドは2003年に石油生産を開始。エクソンは数十年前から同国で事業を展開し、複数のプロジェクトを運営していた。

アナリストはこの決定に深刻な懸念を表明している。

ナイジェリアのある投資会社はSNSに「西アフリカへの外国投資が減少している今、この接収は西アフリカからさらに投資家を遠ざけることになる」と投稿した。

「チャドに対する投資家の信頼はさらに損なわれるでしょう。自分の資金を投じた会社を接収するような国に投資するもの好きはどこにもいません...」

この決定はエクソンとチャド政府間の長い論争の末に下された。

チャドではこの数ヶ月、デビ(Mahamat Idriss Deby)大統領に抗議するデモが活発化し、緊張が高まっている。

デビ氏は父親の故イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領が反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との紛争で戦死した2021年4月に政権を掌握した。

軍の最高司令官であったデビ氏は父親の戦死後、議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任。野党はこの引き継ぎをクーデターと呼んだが、その後、デビ氏を総選挙まで暫定指導者とすることに合意した。

しかし、デビ氏は昨年、選挙を延期し、現在の体制を最大24カ月間延長すると発表。民政復帰を求める野党はこれに強く反発し、全国で抗議デモを展開した。

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