◎ブルキナファソはこの6年間、イスラム過激派の暴力を食い止めようと奮闘してきた。
ブルキナファソ、首都ワガドゥグー、軍事政権を率いるトラオレ大尉(Getty Images)

ガーナのアクフォアド(Nana Akufo-Addo)大統領は14日、ブルキナファソの軍事政権とロシア民間軍事企業ワグネルが契約を結んだと明らかにした。

アクフォアド氏は米・アフリカ首脳会議の中でブルキナ軍とロシア傭兵が関係を強化したと発言した。

アクフォアド氏によると、ブルキナ軍はワグネルへの支払いの一環として、北部にある鉱山の権利を与えたという。

ブルキナはこの6年間、イスラム過激派の暴力を食い止めようと奮闘してきた。

しかし、トラオレ(Ibrahim Traore)大尉率いる反乱軍は今年9月、大統領のダミバ(Paul-Henri Sandaogo Damiba)中佐を追放。今年2回目の軍事クーデターを引き起こした。

ワグネルはトラオレ氏の大統領就任を祝福している。

この問題に詳しい専門家によると、ワグネルはダミバ中佐にロシアとの関係を強化するよう数ヶ月にわたって圧力をかけたが、中佐はこれを拒否したという。

ロシア外務省は12日、ブルキナ軍の首相がモスクワを訪問し、政府高官と会談したと明らかにした。同省は声明の中で、「この訪問はサヘル地域におけるテロの脅威と戦う国際社会の取り組みを強化する」と述べている。

ブルキナ軍は国内で10年以上活動してきたロシア企業ノルドゴールド(Nordgold)に新たな採掘権を与えたようだ。

軍の声明によると、契約期間は4年。ブルキナはアフリカ大陸最大の金生産国のひとつである。

ノルドゴールドがワグネルとつながっているかどうかは不明だ。

マリ北部を中心とするサヘル地域で進行中の紛争は激しさを増し、多くの民間人と兵士が犠牲になっている。マリ、ニジェール、ブルキナで今年過激派に殺害された民間人は7月末時点で2000人を超え、昨年の通年を上回った。

過激派はブルキナ軍への攻撃を加速させ、首都ワガドゥグーに近づいているとされる。

アクフォアド氏は「ワグネルの介入で暴力と人権侵害が加速する可能性がある」と指摘。アナリストも多くの民間人が軍公認の「討伐作戦」に巻き込まれる可能性があると懸念している。

ワグネルはマリ、中央アフリカ共和国、スーダンなど、少なくとも6つのアフリカ諸国で足場を築いている。

米国防総省の研究機関であるアフリカ戦略研究センター(ACSS)によると、ワグネルは今年初め、マリの集落で少なくとも6件の民間人虐殺と300人の処刑に関与したと疑われている。

AP通信はワガドゥグーに駐在する西側大使の話を引用し、「ワグネルとの契約はレッドラインであり、この地域の治安維持活動における西側とブルキナの協力・支援に影響を与えるだろう」と報じた。

ブルキナの市民はアクフォアド氏の発言に懐疑的な見方を示し、「軍は関係国とのパートナーシップを多様化しているだけ」と反論している。

フランス軍が公開した写真、マリ北部で民間人の遺体を埋めるロシアの民兵(French Army/AP通信)
スポンサーリンク