◎ボルソナロ氏は馬にまたがり、カウボーイハットを掲げ、ブラジル国旗を身にまとった有権者に手を振った。
2022年8月26日/ブラジル、サンパウロ州のロデオ会場、ボルソナロ大統領(Andre Penner/AP通信)

ブラジルのボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領が26日夜、サンパウロ州で開催された南米最大のロデオ大会に登場した。

ボルソナロ氏は馬にまたがり、カウボーイハットを掲げ、ブラジル国旗を身にまとった有権者に手を振った。

ボルソナロ氏は選挙チームが作った応援曲「国民のキャプテン(The People's Captain)」が流れる中、ロデオを披露し、喝采を浴びた。

ボルソナロ氏は10月の大統領選で再選を目指しているが、最新の世論調査によると、ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)元大統領に大きく水をあけられ、厳しい戦いを強いられている。選挙戦は先週スタートした。

ボルソナロ氏は演説で、「ロデオはブラジルの一部、私たちの歴史の一部です」と語った。「私はブラジル経済を支える農家、馬、カウボーイのために働いてきました...」

観客はボルソナロ氏を「レジェンド」と称え、「イェーホー!」と絶叫した。

報道によると、会場には白人と中産階級の保守層数万人が集まったという。大会は数日続く予定。

選挙チームのDJは米国のラッパー、リル・ジョン(Lil Jon)さんの「Turn Down for What」をボルソナロ氏の入場曲に選び、保守層を沸かせた。ボルソナロ氏の支持者はこの曲を使った何千もの応援動画をユーチューブにアップしている。

会場近くではボルソナロ氏とダシルバ氏の顔が描かれたタオルが販売された。あるタオルには「ダシルバ=左翼ゲリラ」と書かれていた。報道によると、ボルソナロ氏のタオルは飛ぶように売れたという。

ブラジルの他の地域でも同様のタオルが販売されており、売れ筋はダシルバタオルとのこと。

ロデオ会場近くでAP通信の取材に応じた農場経営者は、「前回の選挙でボルソナロ大統領が勝つと予想したメディアはなかった」と語った。「今回も同じですよ。彼は勝ちます。ダシルバは刑務所がお似合いです」

ブラジル国旗をスカーフ代わりにした女性は、「ボルソナロ大統領を生で見て、鳥肌が立った」と語った。

ボルソナロ氏は4年前、ダシルバ氏の労働者党(PT)候補との決選投票で70%以上の票を獲得、圧勝した。

保守的な価値観を公言するボルソナロ氏は農家を守り、ブラジル人を守り、産業を守り、アマゾンを含む土地開発を推進し、強いブラジルを作ると約束することで保守層の支持を集めた。

ボルソナロ氏は2020年に「ロデオの日」を設け、こうしたイベントの規制を緩めることで、農村部とカウボーイの支持を得た。

ボルソナロ氏とその支持者たちはメディアを「左翼の手下」、世論調査を「プロパガンダ」と嘲笑している。

AP通信の取材に応じたある極右支持者はボルソナロ氏の呼びかけに応じ、9月7日の独立記念日に応援集会とパレードを行うと主張した。一部の野党政治家は暴動に発展する可能性があると懸念を表明している。

ボルソナロ氏が会場を去る時、司会者は「ボルソナロ大統領は来年の大会にも参加し、ダシルバは刑務所に入ります」と観客を煽った。

2003年~2010年まで大統領を務めたダシルバ氏は汚職とマネーロンダリングで有罪判決を受け収監。2018年の大統領選への出馬を禁じられたが、最高裁はその後、事件を担当した判事が偏見を持っていたとして判決を無効とし、出馬の道を開いた。

熱烈なカトリック教徒だという女性はAP通信の取材に対し、「共産主義ゲリラが大統領になれば、ブラジルは大変なことになる」と主張した。「ボルソナロさんのおかげで農家の生活は豊かになったのです...」

リオデジャネイロのSNSユーザーは次のように投稿している。「どっちが勝っても、ブラジル経済を成長軌道に乗せるのは難しいと思う」

2022年8月26日/ブラジル、サンパウロ州のロデオ会場(Andre Penner/AP通信)
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