ブラジル大統領選、決選投票控え「財政再建策」に温度差、両候補とも不人気な改革を回避
公的債務の増加が続く中、両陣営は財政健全化の必要性を訴えるものの、社会保障の削減など不人気な構造改革には踏み込んでいない。
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ブラジル大統領選の決選投票に向け、現職の左派ルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領と右派のフラビオ・ボルソナロ(Flávio Bolsonaro)上院議員は、財政再建をめぐり有権者に受け入れられやすい政策を前面に押し出している。
公的債務の増加が続く中、両陣営は財政健全化の必要性を訴えるものの、社会保障の削減など不人気な構造改革には踏み込んでいない。
ブラジルの政府総債務はルラ氏の現任期中に国内総生産(GDP)比で10ポイント以上上昇し、82.9%に達した。財政赤字の拡大は金利負担を重くし、政府の政策運営を圧迫している。決選投票を前にした世論調査ではフラビオ氏が僅差でリードしており、財政政策は選挙の重要な争点となっている。
フラビオ氏は政権を獲得した場合、18カ月以内に基礎的財政収支をGDP比で1.5%改善するという財政調整を掲げる。財政への信頼を高め、借入金利を引き下げる狙いだ。同氏の1回目の投票での躍進を受け、長期金利は大きく低下した。ただ、目標をどのような具体策で達成するかについて、陣営は詳細を明らかにしていない。
フラビオ氏の経済顧問は年金や社会福祉制度を削減する考えはないと説明する。政治任用の削減や省庁の整理など、政府内部の無駄を省くことで財政を改善できると主張している。一方、ルラ氏も財政再建を掲げるが、より緩やかな調整を重視し、低所得層に負担を押し付ける歳出削減には反対する立場だ。
しかし、専門家が指摘する根本的な問題は、年金や社会保障など義務的支出の急増と、予算の硬直化にある。政府が政策に応じて柔軟に配分できる裁量的支出は、2000年には歳出全体の14.2%だったが、2025年には約7.6%に縮小した。予算の大部分が法律などで使途を定められ、投資や新たな政策に回せる資金が限られている。
ブラジルの金融機関インテルは、債務を安定させるために必要な抜本改革について、選挙期間中に議論するのは難しいと指摘する。社会保障給付の改定ルールや義務的支出の見直し、重複する福祉制度の整理などは有権者の反発を招きやすく、両陣営とも具体策の提示を避けている。
次期政権は、財政再建と社会保障の維持という難題を同時に抱えることになる。選挙戦では有権者への配慮が優先されているが、債務の増加を抑え、金利負担を軽減するための本格的な改革は、決選投票後に先送りされる可能性が高い。
