◎米市場に参入する海外メーカーは食品医薬品局(FDA)が定める厳しい条件をすべてクリアしなければならない。
粉ミルクを飲む乳児(Getty Images)

米食品医薬品局(FDA)は30日、海外の粉ミルクメーカーの市場参入を可能にする計画を発表した。

FDAは声明の中で、「粉ミルクの供給不足を防ぐために、より多くの海外メーカーの市場参入を促す」とした。

またFDAは2025年10月までに市場を活性化させ、「参入したメーカーは連邦政府が定める粉ミルクの栄養、表示、製造に関する基準をクリアする必要がある」と強調した。

FDAは「一部の企業はより早くこの基準をクリアできるはず」と指摘し、市場参入を促した。

FDAは今年2月、粉ミルク大手アボット・ニュートリション(Abbott Nutrition)のミシガン工場で生産された粉ミルク製品の一部を避けるよう消費者に警告し、回収を開始した。3月に公表された調査報告書によると、アボット社は工場の衛生状態や生産手順を守っていなかったという。

それ以来、米国では粉ミルクが不足し、海外メーカーに頼らざるを得なくなっていた。ミシガン工場は6月に生産を再開している。

バイデン(Joe Biden)大統領は5月に粉ミルクの輸入規制を緩和。空軍は「空飛ぶ粉ミルク作戦(Operation Fly Formula)」を開始し、欧州諸国の粉ミルクを空輸した。FDAによると、この作戦で3億本相当の粉ミルクが輸入されたという。

FDAのカリフ(Robert Califf)長官は声明で、「世界中のメーカーが米国の供給強化に関与し、安全な製品を市場に供給し続ける」と述べている。

バイデン氏の規制緩和は11月に期限切れとなる予定だったが、FDAはこれを来年1月まで延長し、その後は海外メーカーに供給を維持するよう要請するとしている。

米国の粉ミルク業界は欧州、オーストラリア、ラテンアメリカの粉ミルク製品を排除し、国内に生産設備を持つ一握りの企業が市場を独占してきた。

米市場に参入する海外メーカーはFDAが定める厳しい条件をすべてクリアしなければならない。

FDAは今月初め、粉ミルク市場を管理する情報システムの老朽化や検査官の訓練不足などに不備があったと認め、問題点を改善すると発表した。

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